土木学会論文集
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2000 巻, 663 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • 戸田 圭一, 井上 和也, 村瀬 賢, 市川 温, 横尾 英男
    2000 年2000 巻663 号 p. 1-10
    発行日: 2000/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    豪雨による都市部の氾濫プロセスが解析できる数学モデルを開発した. ここで扱ったモデルは, 道路網を開水路網と見立てる1次元ネットワークの計算法を基にしたものであり, 市内河川も地盤が低い道路とみなしてこれを開水路網に組み込んでいる. 都市域近郊の山地領域からの流出解析により算出された流出流量をネットワークモデルの上流端境界条件とし, 都市域内に降る雨も流入流量とみなす扱いをしている. また, 下水道モデルについては, 市街地の中の幹線下水道で, 終端にポンプ場を有するものを考慮している. 本モデルを京都市内の中心域に適用したところ, 本モデルは豪雨時の氾濫プロセスを詳細に表現することが可能であることが確認された. また得られた計算結果は, 過去の氾濫実績とおおむね一致するものであった.
  • 大槻 英樹, 芦田 和男, 阿部 宗平, 和田 浩, 藤田 暁
    2000 年2000 巻663 号 p. 11-30
    発行日: 2000/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    河道湾曲部に設置された水制工が水の流れに対してどのような制御効果をもち, また, 水制周辺ではどのような水理現象が生じるのか, 水理模型実験と数値シミュレーションにより検討した. 数値シミュレーションについては, 流れおよび河床変動の解析を幅広く汎用的に行うことができるよう, 既往の平面2次元浅水流モデルを基本とする簡易で実用的なシミュレーションモデルを提案している. また, 水制工の護岸・護床機能を予測してその適切な設置を検討するために, シミュレーションモデルをいかに適用すればよいか, 考察した. 水制工の形式としては, 不透過型水制の例として出し型水制を, 透過型水制の例としてスクリーン枠を対象とした.
  • 宮沢 直季
    2000 年2000 巻663 号 p. 31-42
    発行日: 2000/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    土石流の流動特性の一つに流れの間欠性がある. 本研究は, 土石流フロントで生じる間欠的な流動のメカニズムを明らかにするために, モデル解析と室内実験を行った. その結果, フロントの運動の間欠性は, 後続部からフロント部へ輸送された砂礫粒子の堆積過程と堆積した砂礫粒子の崩壊・流動化過程の繰り返しによって引き起こされることがわかった. また, 本モデルを実際に滑川で発生した土石流に適用し, フロント部の波高や移動速度の変動を説明できることを示した.
  • 秋山 壽一郎, 応 新亜, 浦 勝, 重枝 未玲
    2000 年2000 巻663 号 p. 43-53
    発行日: 2000/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    直投工に伴う濁りの拡散機構の解明とその予測を目的として, 水深が有限な静水中に直投された微細粒子群の落下から, 底面衝突を経て, 濁水重力密度流として流動するに至るまでの一連の挙動について, 実験ならびにLESに基づく連続体モデルを用いた数値計算により検討した. 粒子群が高濃度濁水塊として流動する限り, 本モデルは落下から水平流動までの一連の流動状況および堆積状況を十分な精度で再現できることが確認された. また, 自立型フェンスが設置された場についても検討を行い, 本モデルがフェンス前後での堆積粒子の分布形状をかなりの精度で再現できることを示した. 以上より, 限定された条件下ではあるが, 本モデルは土砂直投によって発生する高濃度混相密度流現象を再現できることがわかった.
  • 合田 良実
    2000 年2000 巻663 号 p. 55-67
    発行日: 2000/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    縦型人工リーフシステムは, 細長い潜堤を汀線と直角に複数基を配置した新形式の人工リーフである. 先端部および縦斜面による波の屈折作用によって天端上の波高を増大させ, 波を効果的に砕かせて減衰させる機能を持つ. この新システムについては, これまでに小規模の室内模型実験および数値計算によってその特性を検討してきた. リーフシステム周辺の波高分布などが算定可能となり, これまでの横型人工リーフに対する優位性が例証された. しかし, これを実用化するにはさらに大規模の模型実験等が必要であるため, これまでの研究成果を取りまとめ, 今後の開発の参考に供するものである.
  • 正村 憲史, 藤間 功司, 後藤 智明, 飯田 邦彦, 重村 利幸
    2000 年2000 巻663 号 p. 69-78
    発行日: 2000/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    海底から水面までせん断力が作用していると仮定し, 地形や海底摩擦による波高変化を考慮した線形長波理論に関する層流解および乱流解を求めた. そして, 層流解の波高減衰率などを層流境界層理論の結果と比較し, 水深が浅く周期が長い場合には境界層近似が適用できないことを示した. また, 乱流解を用いて反射率を評価したところ, 斜面反射率がイリバーレン数だけでなく斜面上の波の数や粗度高さによって変化することが分かった. さらに, 長波の数値計算で広く用いられているマニングの式による底面せん断力が本理論解の結果と平均的に等しくなるための粗度係数n, を評価したところ, nはほぼ粗度高さのみによって決まることを示した.
  • 間瀬 肇, 幸正 一伯, 永橋 俊二, 高山 知司, 井上 雅夫
    2000 年2000 巻663 号 p. 79-88
    発行日: 2000/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 緩勾配から急勾配の海底地形を対象にして, うねり性の波から風波まで広範囲の波浪条件のもとで, 円柱橋脚の設置水深を変えて波の打上げ高の水理実験を行い, 実用的な打上げ高算定式を提案することを目的としている. また, 規則波実験による波の打上げ高から不規則波の代表打上げ高を推定できるように, 規則波の打上げ高と不規則波の代表打上げ高との関係を調べる.
  • 佐藤 愼司, 前田 亮, 磯部 雅彦, 関本 恒浩, 笠井 雅広, 鳥居 謙一, 山本 幸次
    2000 年2000 巻663 号 p. 89-99
    発行日: 2000/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年土砂環境が大きく変化した利根川河口から鹿島灘南部海岸において, 海岸堆積物の分析と河口部における波・流れ・濁度の連続観測を実施し, さまざまな時間スケールでの土砂移動実態を解明した. 海岸堆積物の試料は, 汀線部で採取した底質と海底の柱状コアから作成したものを対象として, 粒度分析および自然放射能の測定を行い, 漂砂輸送に伴う分級と堆積過程の時間スケールを明らかにした. 大規模出水の直後に実施した河口部での観測では, 出水により流軸上に薄く堆積した微細粒径成分が, その後の波や潮汐や沖合いの流れによって再浮遊し輸送される過程がとらえられた. これらの結果に基づき, 最近50年における海岸形成機構を検討した.
  • 羽田野 袈裟義, 田村 宜史, 杉岡 伸一, 朝位 孝二
    2000 年2000 巻663 号 p. 101-108
    発行日: 2000/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    静止水面上に流出した油の放射状の拡がりを2層流モデルにより取扱っている. 解析では2層流モデルと特性曲線法により初期値境界値問題として取り扱い, 計算は先端条件を満たす位置より後方部について行なっている. 先端条件については淡塩水を用いた水路実験により再検討し, 密度界面が局部的に持ち上がった点のうち先端に最寄りのものを先端条件の位置とし, この位置の上層厚さを先端厚さと定義した. また, 油層厚が極めて薄くなった時の油層先端の計算上の処理を再考している. 本計算法により計算が改良され, 計算結果が既往の実験結果をよく再現することを確認した.
  • 長尾 正之, 橋本 英資, 朱 小華, 吉田 みゆき, 高杉 由夫
    2000 年2000 巻663 号 p. 109-117
    発行日: 2000/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    海底酸素消費量を連続して測定できる装置を開発した. この装置はベルジャーを一定時間ごとに昇降させることで, 繰り返し酸素消費量を測定することができる. この装置を用いて冬季と夏季に有機汚染が顕著な広島湾奥で測定した結果, 酸素消費量の平均値は1.31~1.61g/m2/dであり, 汚染が進んだ他の海域の値と同程度だった. なお, 冬季観測結果には, 酸素消費量の一時的な増加が認められたが, これは低気圧通過に伴う海域撹乱が海底堆積物の再懸濁を引き起こしたためと推定された.
  • 田中 規夫, 浅枝 隆, Shiromi KARUNARATNE
    2000 年2000 巻663 号 p. 119-129
    発行日: 2000/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    任意の日射量, 気温波形におけるアシの生長予測を行うシミュレーションモデルを開発し, 栄養塩が豊富な条件下におけるアシの葉茎および地下茎のバイオマスの日射量, 気温波形, 積算気温による生長変化を解析した. アシのバイオマスは, 地下茎の栄養で生長する初期生長期と光合成生長期のトータルの積算気温, それぞれ期間の積算気温の比ならびに日射量率により大きく変化する. バイオマスの変化は, 葉茎と地下茎の呼吸量など生長に不可欠の成分が, 光合成物質を利用する際のエネルギー配分を大きく変化させることにより生じることを, アシの各部位間のフラックスの変化により解明した.
  • 札内川流域と石川流域
    長谷部 正彦, 加藤 友美, 粂川 高徳, 平田 健正, 井伊 博行, 江種 伸之, 坂本 康
    2000 年2000 巻663 号 p. 131-136
    発行日: 2000/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    BOD指標の第1位の清流な河川である札内川 (平成7年度) とBOD指標ワースト1の大和川 (平成7年度) の支流石川について, 土地利用特性を考慮して河川水質の比較を行った. その結果, 札内川では中流域の農地において河川水は硝酸イオンに富んでいた. 硝酸イオンの単位面積負荷量は札内川の方が高い値を示し, 施肥等の影響が強いものと考えられる. また, 流域人口の違いは塩素イオン濃度に大きな影響を与えることが分かった. 酸素・水素同位体比より札内川の方が蒸発速度の速い気団が供給源となっていることが推定された. さらに, 両流域の比較によって酸素同位体比の緯度効果が確認された.
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