抄録
岩盤構造物の建設に伴う力学的挙動の評価は, 一般に断層・破砕帯等を含む複雑な地質条件からなる日本の国土において, 諸外国と比較して特に重要な課題である. 岩盤不連続面のせん断強度式は Mohr-Coulomb の破壊基準を始め, 多くの研究者によって提案されているが, 不連続面の凹凸の削れやラフネスの異方性を考慮したものは皆無である. そこで, 著者らは充填物を含まない不連続面を対象として, その面の離散化ラフネスデータを用いて, 幾何学的な削れ方を考案し, 減耗率kという新たなパラメータを導入してせん断挙動を推定する方法を開発し, その解析手法の有効性を示した. 本論文は種々の供試体にその手法を適応し, その解析手法の有効性を確たるものにした.