2001 年 2001 巻 667 号 p. 137-146
本研究では, 我が国の自動車保有行動を規定する大きな要因の一つであると考えられる車検制度が世帯の自動車取り替え更新行動に及ぼす影響を明らかにするために, 生存時間モデルを適用した自動車取り替え更新行動モデルを構築し, 京都市で得られたパネルデータを用いた実証分析を行った. パラメータ推定の結果より, 保有自動車の買い替えや破棄を行う確率は車検までの期間が6ヶ月を切ると急激に増加することが示された. また, 推定されたモデルを用いたシミュレーション分析の結果からは, 車検費用の引き上げは保有台数に影響を与えることなく買い替えを早める効果がある一方で, 車検期間の延長は保有自動車の破棄を遅らせ, 保有台数の増加を招く可能性のあることが示された.