土木学会論文集
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2001 巻, 667 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 栗野 盛光, 小林 潔司, 渡辺 晴彦
    2001 年 2001 巻 667 号 p. 1-14
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 不確実な需要変動下での社会資本の最適補修タイミングを決定する問題をとりあげる. 期待総費用を最小にするような補修投資の最適なタイミングを決定する問題を最適インパルス制御問題として定式化し, 最適補修投資戦略が最適インパルス制御ルールとして表現されることを示す. その上で, 各時点の社会資本のサービス水準という局所的情報に基づいて補修投資を行うべきかどうかを判定する補修投資ルールを提案する. さらに, 数値計算事例を用いて補修投資ルールの適用方法を示す.
  • 黒田 定明, 赤塚 雄三
    2001 年 2001 巻 667 号 p. 15-31
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    我が国は鉄道の特性に着目し, 社会経済の発展を支える重要な社会基盤としての役割を十分に果たすことを期待して開発途上国鉄道の改善に多大の政府開発援助を行ってきた. 開発途上国鉄道の多くは我が国の期待に必ずしも十分応えるものではなく, 鉄道本来の役割を十分発揮していない状況にある. 本研究では, こうした現状認識に立って, 我が国政府開発援助が開発途上国鉄道にどのように貢献してきたかその現状と問題点を把握した上で, 開発途上国鉄道の現状を定量的に把握する手法を開発し, 更に, この開発効率性向上のための対策を立て, 政府開発援助の具体的な改善策を提案している.
  • 山本 俊行, 北村 隆一, 熊田 善亮
    2001 年 2001 巻 667 号 p. 33-40
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    業務トリップは, 通勤トリップと異なり広い時間帯で発生することや, 複数の目的地を持つトリップチェインを形成する傾向が強い等の特徴を持つ. 本研究では, トリップチェイン前後の業務活動も含めたトリップチェイン全体の費用最小化行動を仮定した, 業務トリップの経路・出発時刻選択モデルを構築した. 出発時刻選択については最適な出発時刻で総費用が極小値をとるとの条件を用い, 連続時間軸上での時刻選択行動をモデル化した. 路側配布によるアンケート調査で得られた実際のトリップチェインデータ, および時間帯別所要時間データに基づき未知パラメータを推定した. さらに, 出発時刻や経路, 立ち回り順序の変更や所要時間の変化に伴なう費用の変化を算出し, モデルの挙動を確認した.
  • 交通問題解消における公共心の役割
    藤井 聡
    2001 年 2001 巻 667 号 p. 41-58
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 交通問題は経済問題ではなく社会問題であるとの認識のもと, 社会的ジレンマの理論的枠組みの中で交通問題を捉え直すことで, その解消に向けての手掛かりを見いだすことを目的とする. 最初に, 土木計画のための社会的ジレンマの定義を提案するとともに, 過去の社会心理学, 社会学における実証研究から明らかにされているジレンマ解消策を概観する. そして, それらの交通問題への適応可能性に検討を加え, テストケースとして韓国ソウルの事例を挙げて, 社会的ジレンマの諸理論の現実的妥当性を確認する. それらの理論的検討を通じて, 交通問題の解消にあたってはロードプライシングや交通規制だけでなく, 人々の公共心を活性化することが必須であることを指摘し, そのための実務的, ならびに科学的研究努力が不可欠であることを主張する.
  • 簡略ネットワークにおける基礎的分析
    桑原 雅夫, 吉井 稔雄, 熊谷 香太郎
    2001 年 2001 巻 667 号 p. 59-71
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 高速道路と一般街路が並行して走る簡単なネットワークを対象として, 動的システム最適配分 (DSO) とランプ流入制御について考察し, 理論的な基礎を整理することを目的とする. まず, DSOにおいて重要な役割を担う動的マージナルコストを定義し, それと関連づけながらDSOの解について検討する. 次に, DSOの検討結果に基づいて, ランプ流入制御の基本戦略について考察する. ランプ流入制御は, ネットワークの一部であるランプ部の容量を減少させる制御であるので, 一般街路も含めた総費用が, 本当に減少させられるのか明確な答えは得られていない. 分析の結果, ランプ流入制御が有効に機能する条件と, ランプ流入制御の基本戦略を明らかにすることができた.
  • 高田 和幸, 屋井 鉄雄, 原田 誠
    2001 年 2001 巻 667 号 p. 73-83
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    今日, 国際エアライン間の提携は, 航空企業の生き残りをかける重要な戦略の一つとなっている. そのため市場に形成される提携により航空サービスが大きく変容することも予想され, 提携が市場に及ぼす影響を定量的に分析する必要性が高まっている. そこで本研究では, エアラインと旅客とを市場内の行動主体とする航空市場モデルを構築する. そして提携の効果として, コスト削減効果, コード・シェアリング効果, およびネットワーク補完効果を取り上げ, 仮想的なネットワークの下で市場均衡分析を行い, 提携の市場への影響を評価可能であることを示す.
  • 道路交通シミュレー・ションによる考察
    藤井 聡, 中山 晶一朗, 北村 隆一
    2001 年 2001 巻 667 号 p. 85-101
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, これまでに指摘した「思い込み均衡」をより効率的な状態へと誘導するために必要とされる交通政策を議論するための基礎的な知見を得ることを目的とした交通システムシミュレーションを行った. 分析に用いたシミュレーションモデルは, 道路上の混雑現象を表現するだけでなく, 個々の運転者の記憶の蓄積, 選択ルールの学習といった長期的な情報処理プロセスを考慮した上で, 道路交通量の日変動をシミュレートするものである. 得られたシミュレーション結果と, 従来の習慣と思い込みに関する理論的・実証的研究で得られている知見に基づいた考察から, 交通量過多となっている選択肢の一時的および継続的な容量削減が, 思い込み均衡の効率化に適した交通政策である可能性を指摘した.
  • 北村 隆一, 酒井 弘, 山本 俊行
    2001 年 2001 巻 667 号 p. 103-111
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では内生抽出標本の重み付け理論を拡張し, 加重層別標本抽出法や多次元選択肢別標本抽出法による標本への適用を論じる. これらの複雑な内生標本抽出法により得られた標本に適用可能な一意的な重みが存在することを示し, 従来一般的になされてきた重み付け法の問題点を指摘するとともに, その改良を提案する. さらに, 重み付きと重み無しで離散選択モデルを推定した場合の係数値とt-値を比較し, 共分散行列を適切に推定することの重要性を示す.
  • 塚井 誠人, 奥村 誠
    2001 年 2001 巻 667 号 p. 113-121
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 企業が通信と対面型コミュニケーション (交通) を介して行う地域間情報交流活動を定量的に評価することを目的として, 情報交流手段の分担メカニズムの考察を行った. 既往の文献から対面型コミュニケーションの特長を整理して, 情報伝達の複雑性は情報量の多さではなく, 課題の達成に必要な情報交流の複雑性 (課題の複雑性) によって表わされることを指摘した. これらの考察より, 課題の複雑性のODペアごとの違いを考慮した情報交流量モデルを定式化した. モデルを都道府県間交流データに適用して推定し, さらに重力モデルとの比較を行ったところ, 提案したモデルは重力モデルと同等の適合度を示した. またシミュレーション分析により, OD別のコスト弾力性など, 情報交流の特性をより柔軟に表現できることが明らかとなった.
  • 黒田 勝彦, 竹林 幹雄, 武藤 雅浩, 大久保 岳史
    2001 年 2001 巻 667 号 p. 123-136
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本稿は, 今後基幹航路における主力機材となるポストパナマックス級コンテナ船の導入が, アジアを中心とする外航コンテナ貨物輸送市場に与える影響について分析を行った. 完全自由化された貨物輸送市場を想定し, 船社と荷主によって構成される完全競争市場モデルを適用した. 次に予測時点を2010年とし, 1000TEUおよび3000TEU船舶で輸送される従来型輸送形態と, ポストパナマックス級船舶 (6000TEU) 導入による影響をシナリオ分析を通じて検討した. その結果, ハブ・スポーク型ネットワークへの移行が顕著に現れ, ポストパナマックス級船舶が導入される港湾への貨物の集中の度合いが加速されることが明らかになった.
  • 山本 俊行, 北村 隆一, 藤井 宏明
    2001 年 2001 巻 667 号 p. 137-146
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 我が国の自動車保有行動を規定する大きな要因の一つであると考えられる車検制度が世帯の自動車取り替え更新行動に及ぼす影響を明らかにするために, 生存時間モデルを適用した自動車取り替え更新行動モデルを構築し, 京都市で得られたパネルデータを用いた実証分析を行った. パラメータ推定の結果より, 保有自動車の買い替えや破棄を行う確率は車検までの期間が6ヶ月を切ると急激に増加することが示された. また, 推定されたモデルを用いたシミュレーション分析の結果からは, 車検費用の引き上げは保有台数に影響を与えることなく買い替えを早める効果がある一方で, 車検期間の延長は保有自動車の破棄を遅らせ, 保有台数の増加を招く可能性のあることが示された.
  • 門前 唯明, 田邊 俊郎, 鈴木 武, 中島 晋
    2001 年 2001 巻 667 号 p. 147-156
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    リニアモータは自動化や直角走行が容易である等の利点を有し, コンテナターミナルにおいてコンテナ搬送に活用された場合には, 荷役作業の効率化・省力化に貢献するものと考えられる. そこで, リニアモータを活用した荷役システムの試設計および評価を行った. 荷役方式としては, トランスファークレーン式, 立体倉庫式, リニア直入型の3方式とし, 以下の成果を得た. (1) リニアへの要求仕様 (速度7m/s, 加速度1.5m/s2) を明らかにすることができた. (2) ランニングコストは高い順から並べると, リニア直入型, 立体倉庫式, トランスファークレーン式, 在来式の順であり, 従来と同等にするための荷役機械のコスト目標を定量的に示すことができた. (3) 3方式ともに本船荷役能率と搬出入荷役能率が向上することが分かった.
  • 上浦 正樹, 三枝 長生, 茂木 重六, 臼井 幸彦
    2001 年 2001 巻 667 号 p. 157-164
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    分岐器は短い区間で線路を分岐する必要からレールへの乗り移りや欠線部など車両衝撃に対して一般軌道に比べ厳しい条件にある. そのためまくらぎ間隔は一般軌道に比較して狭いが, その設計基準が明確ではない. そこで本研究では分岐器の合理的なまくらぎ間隔を定めるために, 側線分岐器において施工精度が高くまくらぎ応力の測定が容易な鉄まくらぎを使用して, まくらぎ間隔の拡大限度を一般軌道の基準とほぼ同等の範囲で定めた. この有効性を検討するため有限弾性支承モデルと連続はりモデルによりレールのたわみとまくらぎ応力を推定した. またこの分岐器を設計して現場に敷設し, 実車試験を行った. これから推定値と現場試験の結果でほぼ妥当な関係が得られ, 本研究の有用性が確認できた.
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