抄録
我が国の斜張橋の座屈設計では, 一般に道路橋示方書に準拠した応力度照査と安定照査を行い安全性を確認する手法が用いられる. しかし, 斜張橋のような複雑な構造形態に対して道示に規定された照査法を用いることの妥当性については問題を残している. このような背景のもと, 斜張橋における簡易かつ精度の高い耐荷力算出法と主桁の安全性照査法の確立が望まれている. 本論文では, 長大斜張橋を対象として, その終局強度の算出に当たりEf法の適用性を弾塑性有限変位解析との精度比較により明らかにする. さらに, 新しく安全性照査式を提案し, 道示に示される照査式との比較を行ない, その有効性について検討する.