抄録
本研究においては, 所要時間の不確実性を考慮した確率論的配車配送計画モデルを定式化している. このモデルは, 顧客への訪問指定時間および早着・遅刻ペナルティを考慮し, 到着時刻を確率論的に取り扱っている. このモデルと動的交通シミュレーションを統合したモデルを開発し, 仮想ネットワークに適用した. その結果, 確率論的配車配送計画モデルを用いた場合, 所要時間として一つの予測値を用いる配車配送計画モデルよりも物流総費用は11-17%削減されることが分かった. また物流総費用のみならず, トラックのCO2排出量も削減される結果となり, 確率論的配車配送計画は, 費用削減を通じて運輸企業に便益をもたらすのみなちず, 環境改善によって社会的便益も発生させることが明らかになった.