2001 年 2001 巻 682 号 p. 177-194
塑性ヒンジ領域を仮定してこの領域の変形性能を基本にしてRC橋脚の終局水平変位を評価するためには, 塑性ヒンジ長を合理的に設定することが必要である. しかしながら, 塑性ヒンジ長は, 断面高さ及びせん断支間比の他, 軸方向鉄筋径や帯鉄筋間隔等によって変化することが指摘されており, 特に軸方向鉄筋が降伏した後の挙動については十分解明されていないのが現状である. そこで本研究では, 有限変位FEM解析によって軸方向鉄筋の座屈長を算定し, 既往のRC橋脚に対する正負交番載荷実験との比較を通じて, 橋脚基部に発生する軸方向鉄筋の座屈長と塑性ヒンジ長の関係を明らかにした. さらに, 座屈解析結果を踏まえて, 材料非線形性を考慮した軸方向鉄筋の座屈長を簡易的に算定する方法を提案し, これを基に合理的な塑性ヒンジ長の算定式の提案を行った.