2001 年 2001 巻 682 号 p. 267-278
現在気象庁によって公表されている計測震度は, 地震動の持つ様々な情報を1つの特性量に集約させているため, 簡潔性という利点と情報の欠落という問題点の両面を併せもっている. したがって, 地震工学・地震防災への有効利用を考える際には地震動の特性を表す他の諸指標との関係を明確にしておく必要がある. 本研究では, 特に地震被害の出始めゐ震度4以上を与える地震に注目し, 種々の物理量と計測震度との関係とともに, 計測震度の工学上の適用範囲について応答スペクトルを用いて明らかにした. その上で, 計測震度にその特性が反映されている周期よりも長い周期帯域に対して, 既に提案している「組合せ震度」を援用し, これを構造物被害や防災情報として活用することの意義について詳しく考察した.