2001 年 2001 巻 682 号 p. 399-414
振動特性の変化から構造物の損傷を推定する際には, 損傷による振動特性の変化と不確実性に起因するその変化との有意性を明確にしなければならない. 本研究では, 計測データから同定される振動特性を確率変動するものとして捉え, その確率分布の信頼区間を Bootstrap 法により算出し, 不確実性に起因する振動特性の変化を定量化する手法を構築した. さらに, そのときに得られる Bootstrap 分布に基づいてその変化の有意性を検定する一手法を提案した. 実際に, 免震橋の地震時における振動計測結果およびRC構造物の常時微動計測結果に対して適用し, 前者においては地震振幅の違いにより有意な振動特性の変化が生じていることを, 後者においては震度4程度の地震前後では振動特性の変化は有意なものではないことを統計的に明らかにした.