2001 年 2001 巻 687 号 p. 125-138
不連続性岩盤斜面の安定解析において, 岩盤内に分布する全ての不連続面を解析に取り込むことは困難であり, 解析対象とする不連続面をいかに抽出するかが重要な問題となる. また, 岩盤崩壊には地震力や水圧が大きく関与することが知られており, 岩盤崩壊に関わる不連続面の抽出に際して, これらの要因を考慮することも必要である. 本論文では, こうした問題に対し, 水圧と地震力を考慮できる, 岩盤すべりの可能性がある不連続面を検索するための手法を提案する. この手法では, 極限平衡論に基づく岩盤すべり条件を, 岩盤斜面と不連続面の傾斜方向および不連続面のすべり摩擦角の関係に帰着させている. このため, 斜面形が複雑で解析対象とする岩盤ブロックの大きさや形状が不明確な場合にも適用できる.