抄録
洪水制御において迅速かつ確実な意思決定を行なうためには, 短時間降雨予測手法や洪水制御支援手法による支援情報が不可欠である. 一方, 定量的な短時間降雨予測では, 計算時間と情報量が膨大なため, 対流現象を中心とするメソスケールで生起する豪雨の実時間予測を行なうことは困難である. そこで, 情報工学的推論手法を用いて洪水制御を必要とするような強降雨の分布・停滞を定性的に予測する手法を開発し, 実時間洪水制御支援に必要とされる6時間程度先までの予測を行なうとともに, 予測の完全自動化を実現して, 実際の河川管理現場への適用に供する実用的なシステムの開発を行なう. さらに, 本手法の実流域への適用例を示す.