2002 年 2002 巻 700 号 p. 123-131
本論文では, がけ崩れと降雨の関係を明らかにすることを目的として, 山口県内の降雨データを対象にラフ集台論に基づいた重要要因抽出手法を適用する. 安山岩斜面に関しては, 比較的短時間の集中的降雨の直後に発生する即発性がけ崩れと, 多量の降雨から十数時間経過して発生する遅発性がけ崩れの2種類が存在することを示す. 一方花崗岩斜面に関しては, 遅発性がけ崩れと, 非発生降雨と判別困難な偶発性がけ崩れが存在することを明らかにする. さらにカイ2乗検定の結果から, 現状で取得可能なデータの範囲内においては, これらのグループ分けとがけの地形要因の間には有意な相関は存在しないことを示す.