抄録
北海道 (3カ所) と鹿児島県 (1カ所) の代表的な火山灰地盤から, 不撹乱試料と乱した試料を採取し, それらの供試体について一連の繰返し三軸試験を行い, 火山灰質粗粒土の微小ひずみレベルにおける動的変形特性を調べた. 試験結果から, 粒子破砕が卓越する粒状体であるほどせん断剛性率Gの拘束圧依存性は大きく, 履歴減衰定数hでは小さくなることがわかった. また, このような火山性粗粒土のGに及ぼす間隙比の影響は, 豊浦砂やしらすに比べて小さなものとなる. 一方, 採取地点の原地盤で行われたサイスミックコーンから得たせん断剛性率と室内試験結果との比較から, 原位置火山灰土のGにはセメンテーション効果が確実に存在するものの, 室内試験によるその評価は不撹乱試料の質に強く依存することが示された.