抄録
地下空洞を構築する場合, 空洞周辺地山では掘削による直接損傷と応力再配分による力学的・水理学的変化が生じる. 空洞掘削により生じる「ゆるみ」は, 掘削損傷と応力再配分の影響が複合して発生するものと考えられる. そこで, 岩手県釜石鉱山内に位置する試験空洞で発破に伴うアコースティック・エミッション計測を実施し, ゆるみ現象の解明と発破工法の違いによる影響の把握を試みた.
計測の結果, (1) AE発生頻度および最大振幅値は, 発破後の時間経過に伴い漸次減少すること, (2) 掘削影響領域では引張り型亀裂およびせん断型亀裂が集中発生すること, (3) 掘削影響領域は未掘削領域まで及ぶこと, (4) 発破工法の相違が岩盤へ及ぼす影響に相違のあること等が明らかになった.