土木学会論文集
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2002 巻, 715 号
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  • Yuezeng YU, Hitoshi INO, Hiroshi NAGO
    2002 年 2002 巻 715 号 p. 1-12
    発行日: 2002/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    The densification process of the loosely deposited sand bed that has once liquefied under oscillating water pressure on its surface is investigated by using the vertically one-dimensional model. In the analysis, the elasto-plasticity of the sand bed skeleton, the sedimentation in the liquefied sand bed and the liquefaction ratio are taken into account. The experimental results verified that the proposed analytical model expressed the dynamical behavior of sand bed through the process from the occurrence of liquefaction to the densification of the sand bed fairly well.
  • 伊東 孝之
    2002 年 2002 巻 715 号 p. 13-31
    発行日: 2002/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    鉄道路盤における道床のめり込み沈下は軟弱な粘性土の路盤において, 道床の貫入力に対して路盤の抵抗が不足しているために生じる. 既設線の路盤はその品質が十分でないものが多く存在していて, 道床の路盤土へのめり込みによる軌道狂いの誘発を招くことが多く, 多くの保守量を必要としている.
    そこで, 計画的な保守作業の実施および道床のめり込みに抗し得る路盤の支持力を明らかにする必要があった. そのため, 路盤本来の機能に密接な関係にある道床のめり込み沈下の要因およびその沈下予測式を求めるため, 室内試験を行うとどもに, 現地路盤のめり込み調査を行い, これらの検証を行い, 道床のめり込み沈下予測式の提案および必要路盤強度を求めた.
  • 谷口 浩二, 澁谷 啓, 三田地 利之
    2002 年 2002 巻 715 号 p. 33-43
    発行日: 2002/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    等方圧密した飽和粘性土供試体を用いて, ひずみ速度およびひずみ加速度を制御した一連の非排水三軸圧縮試験を行い, ひずみ速度効果およびひずみ加速度効果に関する実験的知見を得た. これらの実験結果に基づいて, 非可逆ひずみと非可逆ひずみ速度をパラメーターとした isotach (アイソタック) モデルにより, 広範囲なひずみにおけるせん断時の応力~ひずみ関係の時間依存性を評価した. さらに, 非排水クリープおよび非排水リラクゼーション過程におけるひずみおよび応力の経時変化に関する予測式を導き, 実測値との比較検討から, これらの時間依存性挙動の予測における isotach モデルの適用性を検討した.
  • 大野 睦雄, トラン デュクフィオアン, 鈴木 敦巳
    2002 年 2002 巻 715 号 p. 45-53
    発行日: 2002/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    既設フィルダム等の水理的安定性の向上を目的とする補修で, 堤体等の地盤の遮水性向上を目指した工法として, グラウチングは有効なものの一つである. 本研究は従来のセメント系材料では浸透注入 (地盤を破壊せず低圧力で注入する方法) による注入効果が期待できない, 透水係数k≦10-3cm/sの低透水性地盤に対して遮水性をさらに改善させるためのグラウト材を検討し, 室内注入試験により材料の適用性を確認するとともに, グラウト材の地盤への浸透長さを推定する式を導き, グラウト材の配合設計およびグラウチングの設計手法を提案した.
  • 東田 淳, 日野林 譲二, 吉村 洋, 寒竹 英貴, 不動 雅之
    2002 年 2002 巻 715 号 p. 55-72
    発行日: 2002/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    最大100mに及ぶ高盛土下に埋設される排水管の合理的設計法構築を目的として, 2シリーズの遠心実験に対するFEM弾性解析を行い, 解析手法の妥当性を調べた. まず, 比較的浅い盛土下に埋設した剛性の異なる2本の模型管に働く土圧測定実験の解析から, 管周囲に設けた正台形の裏込め砂の部分的な剛性低下を考慮した解析結果が測定結果と良く一致することを見い出した. 次いで, 2種類のポリエチレン管と硬質アルミ管から製作した3種類の小型模型管を用いた高盛土下埋設実験の解析から, 裏込め砂の部分的な剛性低下とポリエチレンの材料非線形性を考慮した解析結果が, 管剛性, 土被り高, 盛土材料, 管下部の盛土厚を変化させた実験結果と良く一致することを確かめ, この解析法が設計法構築の手段として有効であると結論した.
  • 渡辺 英彦
    2002 年 2002 巻 715 号 p. 73-82
    発行日: 2002/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    AE法を用いた初期地圧の推定において再載荷時の拘束圧の影響に関する実験を行い, 得られた実験結果よりカイザー効果のメカニズムを検討した. 原位置での応力状態を模した三軸圧縮の先行載荷を行った供試体に対し, 先行載荷とは異なる大きさの拘束圧で再載荷を行った. このときのAE発生傾向には二つの急増点が観察され, 先行載荷時の軸差応力と軸応力とに対応している. 軸差応力と軸応力をそれぞれ記憶したクラックの存在が考えられ, これらは拘束圧の大きさに影響されない. この結果をもとに軸差応力を記憶しているクラックモデルとして2次クラックが甫載荷時に成長する際にAEが発生するモデルが実験結果とよく対応することを示した.
  • 谷本 親伯, 北村 義宜, 川崎 了, 宮田 健治朗, 鈴木 淳也
    2002 年 2002 巻 715 号 p. 83-94
    発行日: 2002/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    岩盤のせん断挙動には不連続面の凹凸が大きく関係しており, 凹凸と強度・変形特性との関係を明らかにすることは, 岩盤のせん断挙動を推定する上で重要である. この凹凸がせん断挙動に及ぼす影響は, せん断試験条件によって大きく異なるが, これまで試験条件によるせん断挙動の違いは十分に明らかにされていない. そこで本研究では自然の状態を保つ不連続面を有する人工供試体を作成し, 定圧およびダイレイタンシー拘束条件において一面せん断試験を行い, それぞれの試験条件におけるせん断強度特性について考察を行った. 特に, せん断中にアスペリティーが破断して変形を起こす状態を定量的に評価する手法を考案し, それぞれの試験条件においてアスペリティーの破断体積とせん断強度の間に高い相関が存在することを見出した.
  • 谷本 親伯, 宮田 健治朗, 川崎 了, 北村 義宜, 鈴木 淳也
    2002 年 2002 巻 715 号 p. 95-105
    発行日: 2002/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 自然の不連続面と同じ形状を有する人工供試体を作成し, 拘束圧一定条件とダイレイタンシー拘束条件の2つの異なる条件において一面せん断試験を行い, せん断試験と同時に弾性波伝播挙動を測定した. すなわち, 計測データから弾性波速度および第一波振幅値の算出を行い, せん断破壊の進展状態と振幅値の相関関係を考察した. また, 不連続面の表面形状が弾性波伝播挙動に与える影響を調べるためにラフネスの定量化も行った. これらの基礎実験の結果から, 弾性波ジオトモグラフィーを適用した場合の結果解析に当り, 弾性波伝播特性によって岩盤の緩み領域を評価することができるものと考える.
  • 地震時支持力特性の検討
    前田 良刀, 落合 英俊, 横田 康行
    2002 年 2002 巻 715 号 p. 107-115
    発行日: 2002/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本文は, 震度法による力学モデルと塑性論の上界定理に基礎をおく速度場法を用いて, 直接基礎の支持力特性を検討したものである. 本文で想定した破壊メカニズムをもとに, 荷重と地盤の傾斜を同時に考慮できる汎用性のある直接基礎の支持力式を提案した. そして, 荷重の傾斜と地盤の傾斜が支持力に与える影響について考察した. これから, 荷重傾斜角が支持力に与える影響は従来の研究と同様の傾向を示すが, 水平震度が大きくなると荷重傾斜角の影響を無視できなくなることを示した. このため, 現行の設計実務で用いられている直接基礎の支持力式は水平震度が小さい領域では問題とならないが, 水平震度が大きくなると支持力を過大評価する可能性を指摘した.
  • 乗安 直人, 兵動 正幸, 三浦 哲彦
    2002 年 2002 巻 715 号 p. 117-133
    発行日: 2002/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 広範囲な塑性指数域の海成沖積粘性土を対象に年代効果の圧縮特性に及ぼす影響の程度とメカニズムについて実際の圧縮曲線形態から解明するために基礎的調査を実施した. 本研究において塑性指数の影響が小さいlogf~logp関係に基づく対数圧縮指数Cc*~f, Cc*~pmの関係を採用した. (1) pc近傍で下位・上位降伏点が存在し, 上位降伏点は年代効果・土構造の破壊の開始点に関係する. (2) 年代効果の発現は圧縮曲線形態に影響を及ぼし, 対数圧縮指数比Rcが有効土被り圧の増大に伴いと大きくなる. (3) Rc=1.0の基準圧縮形態がIpに対応して限界有効土被り圧で存在する. (4) 粘性土の年代効果の程度はRcにより把握できる. (5) Bjerrum の年代効果モデルの基本的仮定を検証した.
  • 坂井 晃, 三浦 哲彦, 八谷 陽一郎, 陶野 郁雄
    2002 年 2002 巻 715 号 p. 135-146
    発行日: 2002/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    農業用および消雪用として地下水を利用している軟弱地盤地帯では, 季節的な地下水揚水に伴って地下水位の変動が起こり, 繰返し圧密に起因した広域地盤沈下が進行する. 大渇水時・豪雪時には, 大きな地下水位低下を引き起こし, 甚大な地盤沈下被害を受けることになる. 本論文は, 農業用水として夏季に過剰な地下水揚水を行っている佐賀平野白石地区を対象に, 季節的な地下水位変動に伴う地盤沈下の実態と地盤沈下解析の結果を示し, さらに季節的な地下水位変動量と地下水揚水量および年間沈下量との関係を明らかにして, 地盤沈下防止を目的とした管理手法について検討したものである.
  • 江頭 和彦, 岩瀧 清治, 佐藤 孝夫, 片桐 雅明, 寺師 昌明, 吉福 司
    2002 年 2002 巻 715 号 p. 147-164
    発行日: 2002/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    新北九州空港は, 港湾・航路整備事業にともない発生する浚渫土砂の埋立地 (土砂処分場) に建設される. 2005年10月の開港にむけて, 急速に建設が進められ, 新門司沖土砂処分場1工区の浚渫土埋立が終了した. 本文では, 1工区を対象として, 浚渫土による埋立の予測ならびに修正の変遷を示すとともに, モニタリング結果から圧密パラメータを同定し, そのパラメータを用いてその後の挙動を予測する手法で予測精度が向上したことを示す. その際, 埋立高さの経時変化だけでなく, 地盤内の含水比分布および過剰間隙水圧分布という地盤内性状の面からも検討した. また, 同定した圧密パラメータは埋立地から採取した試料で求めた圧密パラメータの範囲内にあること, 試料の圧密パラメータと液性限界の関係は相関性がよいことがわかった.
  • 福島 伸二, 北島 明, 谷 茂, 石黒 和男
    2002 年 2002 巻 715 号 p. 165-178
    発行日: 2002/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ため池のような小規模ダムは, 一般に築造年代が古く老朽化し, 早急に改修を必要とするものが多い. このような老朽化ため池では貯水容量低下や水質悪化の原因になる底泥土が厚く堆積しその除去が必要なものが多い. この厄介な底泥土をその堤体の改修・補強のための築堤土として使用できれば, 堤体の改修・補強と底泥土の除去が同時に可能となる. 著者らはこれまでに底泥土を固化処理して, ため池堤体の改修・補強用の築堤土として有効活用できる砕・転圧盛土工法を開発してきた, ここでは, これまでの成果により一般性を持たせるために, 全国数箇所のため池から採取した底泥土の追加調査を実施し, 固化処理した底泥土による築堤土の強度特性に及ぼす各種要因の影響を整理し, その結果を考慮した合理的な室内配合試験法, 目標強度の設定法や施工管理法を提案したものである.
  • 内田 純二, 矢田部 龍一, 横田 公忠, 高田 修三
    2002 年 2002 巻 715 号 p. 179-186
    発行日: 2002/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    中央構造線と併走している四国縦貫自動車道の北側には和泉層群が, 南側には三波川帯が分布している. 頁岩と砂岩の互層から形成される和泉層群は, 層理面が発達しており, 流れ盤斜面において層理面に沿った崩壊や地すべりが発生しやすい. 四国縦貫自動車道の建設工事に際しての切土工事によって, 層理面の境界で変状・崩壊する, 直線的な平面すべりが数多く確認された. そこで, 和泉層群の切土のり面における崩壊・非崩壊を整理し, 崩壊特性を検討した. また, 直線的な平面すべりの安定は, 摩擦角に支配されることから層理面でのすべりを想定して, 頁岩同士の摩擦実験, 粘性土のせん断試験, X線回折試験を行った. その結果, 土砂化したのり面より, 岩構造の残る流れ盤のり面での崩壊が多発することが明らかになった.
  • 工藤 アキヒコ, 西垣 誠, 西方 卯佐男, 鳥居 剛, 浅田 昌蔵
    2002 年 2002 巻 715 号 p. 187-199
    発行日: 2002/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ロックフィルダムで用いるような粗粒材の透水係数と粒度との関係を解明する目的で, 大型透水試験装置を試作し, 相似粒度と種々の粒度 (Ucが6~30程度) を持つ試料を用いて透水試験を実施した. その結果, 粗粒材の透水係数は, D10が数mmオーダーとなるロック材では, 少なくとも1cm/s以上であること, 動水勾配が0.01~0.2の範囲で, 透水係数がおよそ0.1cm/s以上となる試料では, 動水勾配依存性が認められること, D10などの細粒分が支配的ではあるが, D60などのより大きな粒径の影響も受けていることなどを明らかにした. また, 粗粒材の透水係数は, Terzaghi や Poiseuille が示す Dnbの形よりも, D10aD60bの積の形とする方が, より精度良く推定できることを示した.
  • 多田 浩幸, 石塚 与志雄, 堀井 秀之, 内田 善久, 柏柳 正之, 木全 宏之
    2002 年 2002 巻 715 号 p. 201-213
    発行日: 2002/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 地震時におけるダム基礎岩盤の安定性評価手法の確立を目的として, アーチダムを対象に, 岩盤の不連続面を考慮した地震時の基礎岩盤の局所的なせん断破壊及び全体的なすべり破壊の評価手法の提案を行うとともに, ダム基礎岩盤の不連続面を想定した局所的なせん断破壊及び全体的なすべり破壊の評価フローを示した. さらに, 既往の連続体解析結果を用いたケーススタディを行い, 提案した評価手法・評価フローにより不連続面を考慮した地震時の基礎岩盤のせん断破壊に対する安定性が定量的に評価できることを示し, ジョイント群の卓越方向とそのせん断破壊規準値が基礎岩盤のせん断破壊に大きな影響を及ぼすことを明らかにした.
  • 大谷 義則, 浅倉 佳, 星谷 勝
    2002 年 2002 巻 715 号 p. 215-226
    発行日: 2002/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高耐力マイクロパイルは場所打ち杭のため, 施工依存性が高く, 地盤特性の影響を強く受ける. したがって, 支持力に対して不確定要因が様々に関与するため, 設計における安全性の確保において充分な配慮が必要である. 本論では, 押し込み支持力として, 地盤の支持力不足による沈下, 鋼管部の圧縮破壊, 非鋼管部の圧縮破壊の3つの限界状態を対象とし, 各限界状態の性能関数を設定している. そして, それらの構成要素の不確定性を確率論的に検討した上で, 部分係数設計法を高耐カマイクロパイルの押し込み支持力の設計に適用することを検討している.
  • 張 鋒, 八嶋 厚, 木村 亮, 景山 学, 片山 辰雄
    2002 年 2002 巻 715 号 p. 227-236
    発行日: 2002/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 新しいサンプリング装置を用いて礫材の埋立地盤の不撹乱試料を採取し, 室内試験で得られた土の力学特性を適切に評価するとともに, 他の方法で評価された地盤特性と比較することにより, 不撹乱試料の採取が地盤特性の適切評価に対して重要であるを検証した. また, 新しいサンプリング装置の有効性を確認するとともに, 境界値問題として, 埋立地盤で実施した実物大9本群杭基礎の水平載荷試験の数値解析も行い, 地盤力学特性の適切な評価が正しい数値解析結果を得るために不可欠であることも確認した.
  • 石井 卓, 郷家 光男, 桜井 英行, 里 優, 木下 直人, 菅原 健太郎
    2002 年 2002 巻 715 号 p. 237-250
    発行日: 2002/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論では, 地下空洞の掘削に伴う透水性の変化を予測・評価することを目的として, 割れ目分布の偏りと透水係数の応力依存性を考慮した解析手法 (仮想割れ目モデル) を提案する. 本手法では, 原位置で得られた透水テンソルをもとに, Bingham 分布を用いて仮想の割れ目群を発生させる. この仮想割れ目群で特徴づけられる岩盤に対して, 空洞を掘削した場合の応力変化を求め, 透水係数がどのように変化するかを予測する. この手法を用い, 神岡鉱山で行われた「スーパーカミオカンデ」掘削時の透水係数の変化率を予測した. 原位置で行われた計測と予測結果は, いずれも空洞周囲での透水係数の増加を示し, 相互に整合的なものであった.
  • 畑 浩二, 松井 裕哉, 木山 英郎, 木梨 秀雄
    2002 年 2002 巻 715 号 p. 251-262
    発行日: 2002/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地下空洞を構築する場合, 空洞周辺地山では掘削による直接損傷と応力再配分による力学的・水理学的変化が生じる. 空洞掘削により生じる「ゆるみ」は, 掘削損傷と応力再配分の影響が複合して発生するものと考えられる. そこで, 岩手県釜石鉱山内に位置する試験空洞で発破に伴うアコースティック・エミッション計測を実施し, ゆるみ現象の解明と発破工法の違いによる影響の把握を試みた.
    計測の結果, (1) AE発生頻度および最大振幅値は, 発破後の時間経過に伴い漸次減少すること, (2) 掘削影響領域では引張り型亀裂およびせん断型亀裂が集中発生すること, (3) 掘削影響領域は未掘削領域まで及ぶこと, (4) 発破工法の相違が岩盤へ及ぼす影響に相違のあること等が明らかになった.
  • 横浜 勝司, 三浦 清一, 川村 志麻
    2002 年 2002 巻 715 号 p. 263-275
    発行日: 2002/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    波浪のような繰返し荷重を受ける構造物・地盤系の安定性評価法確立のために必要な, 地盤の流動変形を考慮した構造物の変位量の推定法を明らかにすることを目的に, 二次元平面ひずみ模型土槽装置を用いた一連の実験と解析を行った. 本研究では, 特に構造物の沈下挙動と地盤の側方流動変形挙動を詳細に調べている. 具体的には, 静的及び繰返し荷重場にある地盤の側方流動挙動をFEM解析によって検討し, 任意荷重場の地盤・構造物系の変形挙動を再現できるような解析法を検討している. また, 解析から得た側方流動変形挙動を考慮した構造物変位量の推定式を提案した. 推定式は, 構造物天端2地点で計測された鉛直変位量から繰返し荷重場にある構造物の変位量を精度良く推定することが示されている.
  • 荻野 俊寛, 及川 洋, 対馬 雅己, 三田地 利之
    2002 年 2002 巻 715 号 p. 277-285
    発行日: 2002/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    室内試験による高有機質土の強度評価手段の一つとして, せん断応力載荷型試験の適用が可能であることを示している. 乱した高有機質土を用いて, 一面せん断試験およびリングせん断試験を定体積, 定圧それぞれの条件で実施し, 得られるせん断特性や強度定数について粘土を用いた場合の実験結果と対比して比較, 検討している. また, 一面せん断試験, リングせん断試験の結果を等方圧密非排水三軸試験の結果と比較した上で, せん断応力載荷型試験の有効性について述べている.
  • 河井 克之, 軽部 大蔵, 嘉戸 善胤, 加藤 正司
    2002 年 2002 巻 715 号 p. 287-296
    発行日: 2002/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    不飽和供試体の非排水三軸圧縮試験を行い, 不飽和土の非排水変形強度特性および水分特性について調べた. 試験は, まず飽和状態にある供試体を加圧板法で不飽和化し, その後供試体の間隙空気圧を一定に保ち, 非排水状態で軸圧縮を行った. 比較的飽和度が高い供試体では, 間隙水圧は, せん断による体積圧縮とともに増加し, 膨張とともに消散した. しかしながら, せん断による体積膨張量が顕著になってくると, 再び間隙水圧は増加した. 一方, 飽和度が低い供試体では, 体積変化とは無関係に, 間隙水圧が増加するという傾向が現れた. これは, バルク水とメニスカス水の骨格変形に対する作用の違いとして説明できることが分かった. また, サクション応力を用いれば排水試験と同様の破壊基準を用いることができ, 飽和土の限界状態線と一致することがわかった.
  • 志比 利秀, 亀井 健史
    2002 年 2002 巻 715 号 p. 297-309
    発行日: 2002/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 塑性指数の違いが平面ひずみ非排水圧縮試験における正規圧密粘性土の分岐点とすべり面予測に及ぼす影響を明らかにするため, 載荷初期から分岐時までの供試体寸法比の変化を考慮した分岐解析を行った. 対象とした地盤材料は, 3種類の低塑性から高塑性にいたる正規圧密粕性土である.
    分岐解析結果によれば, 高塑性な土に比較して中間土のような低塑性な土は, 分岐荷重は大きな値を示すが分岐時の軸ひずみ量は小さく表れることが明らかとなった. また, 最大せん断ひずみや応力状態量の分布からすべり面の発生位置, 形態を予測することが可能であり, その破壊形態は, 低塑性な土の場合には脆性的であり, 高塑性の場合にはひずみの局所化からせん断帯, すべり面へと遷移する進行性破壊的な形態となることが示唆された.
  • 西垣 誠, 小松 満, 山本 浩志, 見掛 信一郎
    2002 年 2002 巻 715 号 p. 311-321
    発行日: 2002/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 亀裂性岩盤を対象としたグラウチング技術の高度化を目的とし, グラウトの亀裂への注入特性や亀裂中における浸透挙動を把握するために行った研究結果について論述する. すなわち, 平行平板亀裂モデルを用いて, その亀裂開口幅, グラウトの粘性, 水セメント比, 注入流量等の種々の条件が, グラウトの注入特性や浸透挙動にどのような影響があるかを実験により解明した. さらにその成果にもとづき, グラウト注入孔において目詰まりを生じさせずにグラウトできる配合 (水セメント比) と平均的な亀裂開口幅の算定方法を提案し, 理論的根拠にもとつくグラウトの設定方法を提案した.
  • 西垣 誠, 見掛 信一郎
    2002 年 2002 巻 715 号 p. 323-332
    発行日: 2002/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 亀裂性岩盤を対象としたグラウチング技術の高度化を目的とし, グラウトの亀裂への注入特性や亀裂中における流動特性を把握するための基本的な事象についての研究成果を論述する. すなわち, グラウト注入孔と交差する複数の亀裂に注入されるグラウトの浸潤メカニズムについて理論を構築し, その理論の妥当性を検証するためにグラウトの浸潤実験を実施した. その結果, 複数の亀裂におけるグラウトの浸潤挙動について, ベルヌーイの式を適用することにより, 実験での現象を理論にもとづき説明することができた. さらに, 従来より経験的に行われているグラウチングの手順についての理論的な評価を行った.
  • 松田 浩朗, 安立 寛, 西村 好惠, 清水 則一
    2002 年 2002 巻 715 号 p. 333-343
    発行日: 2002/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    大規模斜面の安定性の監視を目的として, GPSを用いた変位計測システムの開発研究を進めている. 本研究では, GPSによって連続計測した変位をトレンドモデルを用いて平滑化し, 従来のGPS測量の精度を上回る変位計測が可能であることを実験と実測結果を用いて検証する. また, 平滑化した計測結果を用いて変位挙動を予測する手法を提案し実測結果に適用しその妥当性を検証する.
  • 中山 芳樹, 石田 毅, 大池 泰弘, 水田 義明
    2002 年 2002 巻 715 号 p. 345-356
    発行日: 2002/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    2軸載荷状態の花陶岩供試体にまず水で水圧破砕亀裂を造成し, これを既存亀裂とみなし, 次に最大及び最小拘束圧の載荷方向を逆転させ, 水の80倍の粘度を有する油を用いて水圧破砕を行った. その結果, 既存亀裂と直交する最大加圧方向に新規亀裂が造成された. 圧力の経時変化は, 3回の小さな圧力低下の後, 4回目に大きな圧力低下を示した. AEの震源決定結果から, 最初の3回の圧力低下は孔内に残っていた水が既存亀裂に浸入したため, 4回目の大きな圧力低下は新規亀裂が造成されたためと思われた. 以上のことから, 亀裂を有する岩盤においても粘性の高い流体を用いれば, 最大地圧方向に新たな亀裂を造成して地圧を測定できること, またその際孔内に残留している水が破砕に影響を与えることがわかった.
  • 佐藤 博, 大矢 孝, 松島 学
    2002 年 2002 巻 715 号 p. 357-367
    発行日: 2002/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 砂質土地盤および粘性土地盤において実施した実物大単杭 (場所打ち杭, 径80cm) の大変形水平載荷実験の結果について述べるものである. 実構造物では杭頭の回転が拘束されている場合が多いが, この点を考慮して単杭を載荷した実験例は少ない. 有限長の杭に分類される短尺の杭は, その挙動が底面の回転等に影響され, 大変形領域までの評価が難しいなどの課題がある. さらに, 性能設計を行う上では, 杭の終局挙動を精度良く把握することが重要である. 本研究では単杭の杭頭回転固定条件を再現できる装置を用い, 砂質土地盤および粘性土地盤中の長さを変えた杭の大変形終局挙動を把握した. さらに粘性土地盤では杭頭自由条件の実験も行った. これらから, 地盤, 杭長, 杭頭条件の違いによる実物大単杭および周辺地盤の終局挙動の差異を考察した.
  • 増井 久, 福本 武明, 藤代 浩二, 齋藤 章人
    2002 年 2002 巻 715 号 p. 369-374
    発行日: 2002/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    石分や岩砕を含む粗粒材料の使用頻度が増えるに伴い, このような礫質土の力学特性の適切な把握が重要な課題となっている. ところが, 力学特性に大きな影響を及ぼすと考えられる相対密度 (最小・最大密度) の試験法が礫質土について未だ確立されておらず, 種々の工学的判断に際し多くの人々が不便を感じている現状である. そこで本論文では, 相対密度のうち最小密度を取り上げ, 粗い粒子を多量に含む礫質土に対して有効な最小密度試験法の開発を行い, 粒径が100mmにも及ぶ礫質土にも適用できるような最小密度試験方法を提案している. そして, ハンドスコップを用いる方法との実証的な比較検討を行い, 提案法がハンドスコップ法よりも優れていることを示している.
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