抄録
重力式岸壁のフラジリティカーブの考え方に基づく地震時リスク評価法を提案した. まず, 重力式岸壁の被災レベル指標を地震後の復旧費用の観点に留意して無次元化した海側水平変位量により定めた. 次に各々の被災レベルに対するフラジリティカーブを簡易耐震性能評価手法に基づき, モンテカルロシミュレーションにより設定する手法を提案した. そして, 地震危険度解析の結果と設定したフラジリティカーブにより地震リスクを評価するものとした. また, 2000年鳥取県西部地震の被災事例をもとに提案手法の適用性を検討し, 耐震性強化手法の費用対効果を検討する場合の指標として, 本手法による地震リスクの適用可能性を示唆した.