土木学会論文集
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2002 巻, 717 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 河邑 眞, Jafril TANJUNG
    2002 年2002 巻717 号 p. 1-12
    発行日: 2002/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    この論文では, 飽和土層における動的相互作用問題に対する, 3次元非線形並列有限要素解析方法を示す. 飽和土の繰り返し載荷時における非線形な力学的挙動を表現するために, Bounding Surface Model を用いた. また, 3次元非線形動的解析の過大な計算負荷を軽減するために, 有限要素並列演算アルゴリズムには, Domain Decomposition Method と Conjugation Gradient Method を用いた. つぎに, 提案された手法の妥当性を検証するために, 振動台を用いた地震時土圧実験の数値シミュレーションを行った. 地震時主働土圧と間隙動水圧に関する数値解析結果は実験結果と良い一致を示した.
  • 一井 康二
    2002 年2002 巻717 号 p. 13-22
    発行日: 2002/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    重力式岸壁のフラジリティカーブの考え方に基づく地震時リスク評価法を提案した. まず, 重力式岸壁の被災レベル指標を地震後の復旧費用の観点に留意して無次元化した海側水平変位量により定めた. 次に各々の被災レベルに対するフラジリティカーブを簡易耐震性能評価手法に基づき, モンテカルロシミュレーションにより設定する手法を提案した. そして, 地震危険度解析の結果と設定したフラジリティカーブにより地震リスクを評価するものとした. また, 2000年鳥取県西部地震の被災事例をもとに提案手法の適用性を検討し, 耐震性強化手法の費用対効果を検討する場合の指標として, 本手法による地震リスクの適用可能性を示唆した.
  • 小西 拓洋, 冨澤 雅幸, 三木 千寿
    2002 年2002 巻717 号 p. 23-36
    発行日: 2002/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    FEMと設計照査プログラムを最適化ルーチンと組み合わせた橋梁の設計支援システムを開発した. 設計変数を最適化ルーチンにより変化させながらFEMモデルの解析を実施し, その結果により断面照査を行い, 最終的に目的関数を最小とする設計変数を決定した. 設計対象はPC床版鋼2主鈑桁橋とし, 最初に主桁断面寸法を設計変数とし, 重量最小化を目的にシミュレーションを実施した. 次に鋼種を設計変数に加えコストを目的関数としてシミュレーションを実施し, これまで経験的に決められてきたブロックの鋼種配分に対しても本支援ソフトにより自動的に最適解が発見できることが確かめられた.
  • 吉田 純司, 阿部 雅人, 藤野 陽三
    2002 年2002 巻717 号 p. 37-52
    発行日: 2002/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高減衰積層ゴム支承の解析は, 幾何学非線形とともに複雑な材料非線形を考慮しなければならず, 困難なものとなる. そのためこれまで精緻なモデルは構築されていない. 本研究では材料レベルからの高減衰積層ゴム支承のモデルの構築を目的とした, 1) まず, 著者らが提案した構成則を有限要素法に組み込むための定式化を示し, 2) 増分型の構成則によりモデル化される圧縮性材料のための混合型有限要素法を構築した. 3) 次いで支承の3次元有限要素モデルを構築し, 載荷実験結果と比較してモデルを検証した. 4) 最後に, 本モデルを応用して支承のねじれ, 回転変形における力学特性を把握した. また, それらの変形および鉛直変形について, 支承の設計に利用できる理論的な簡易式を提案した.
  • 佐藤 忠信, 文 龍, 渦岡 良介
    2002 年2002 巻717 号 p. 53-64
    発行日: 2002/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地盤の液状化-流動化過程に見られる固体・流体状態間の相変化過程を表現できる砂の構成式を提案する. 提案する構成式は砂の繰返し弾塑性構成式と Newton 粘性流体構成式を, 相変化を表す関数を介して組み合わせたものである. まず, 提案した構成式を用いて要素シミュレーションを実施し, 構成式の基本的挙動を検証する. つぎに, 液状化地盤上の盛土の遠心模型実験を対象としたシミュレーションを実施し, 構成式の地盤震動解析への適用性を検討する.
  • 星谷 勝, 丸山 收
    2002 年2002 巻717 号 p. 65-75
    発行日: 2002/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    動的外乱を受ける構造物の安全性を議論する場合には, 外乱が作用している全継続時間中に応答値が規定された一定値を超えない確率を定量的に評価する必要がある. これは, 応答が一定値を越えたら限界状態に達したという基準で安全性を算定するものであり, 初期通過確率を算出することに集約できる. 本研究は, 有限個のサンプル実現値を用い, 解析的手法を併用して, 非線形構造システム初期通過確率算定のための準解析手法を提案し, 1自由度非線形構造系を対象とした数値計算例により手法の検証を行っている.
  • 有賀 義明, 曹 増延, 渡邉 啓行
    2002 年2002 巻717 号 p. 77-89
    発行日: 2002/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    非常に強い地震動を受けたロックフィルダムの地震時安全性の評価手法の高度化, 合理化を図るために, ロックフィルダムの遠心載荷模型振動実験および関連数値解析を行なった. 実験は, 高さ40cmのダム模型を作成し, 40Gの遠心重力場において最大加速度40Gまでの地震動を入力加振して実施した. この実験により, 大ひずみレベルの堤体材料の動的変形特性, 地震時挙動の三次元性, 地震時の過剰間隙水圧の挙動, 堤体の損傷過程および損傷形態などを明らかにした. 更に, 遠心載荷模型実験の三次元シミュレーションにより, 強い地震動に対する堤体の動的変形特性について定量的な評価考察を加えた.
  • 堺 淳一, 川島 一彦
    2002 年2002 巻717 号 p. 91-106
    発行日: 2002/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 横拘束筋のコンクリートに対する拘束メカニズムを解明するために, 横拘束筋の配置間隔の影響, 長方形断面に配置する中間帯鉄筋の効果に着目して, 横拘束筋で拘束したRC柱に対する一軸圧縮試験を行った. 実験から, 同量の横拘束筋を配置するのであれば横拘束筋の配置間隔を小さくする方がコンクリートの変形性能を向上する上で効果があることを明らかにした. さらに, 横拘束筋の配置間隔がコンクリートの耐力や変形性能に及ぼす影響を定量的に評価するために, 横拘束筋間において拘束力が低下することを取り入れた横拘束効果評価モデルを開発した.
  • 秦 康範, 川北 潤, 目黒 公郎, 山崎 文雄, 片山 恒雄
    2002 年2002 巻717 号 p. 107-117
    発行日: 2002/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年, 都市化の進展とともにエネルギー需要における電力への依存性が高まっており, 停電が都市生活に与える影響は極めて大きくなっている. 本研究では, 都市停電の定量的影響度評価手法を提案し, 東京23区の配電用変電所に適用を試みた. すなわち,「停電の影響」を「平常時に行っている生活活動ができなくなってしまう状態」と定義し,「停電の影響度」を「停電により妨げられた平常時ならば行っているはずの生活活動の重要度の合計」として評価する手法を構築した. また提案手法を東京23区の配電用変電所に適用し, 電力需要分析ならびに各配電エリアの停電影響度マップの作成を行った.
  • 安川 義行, 稲葉 尚文, 済藤 英明, 大垣 賀津雄
    2002 年2002 巻717 号 p. 119-135
    発行日: 2002/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    現行の道路橋示方書においては, 合成桁のずれ止めを設計する際, 橋軸方向の水平せん断力のみを考慮している. しかしながら, 近年, 施工事例が多く見られるPC床版を有する合成2主桁橋においては, 床版支間や張出し長が大きくなるため, 床版における橋軸直角方向の回転によって発生するずれ止めの曲げ引抜き力が無視できなくなる. 本研究では, PC床版合成2主桁橋のずれ止めに対する設計法を確立するために, 頭付きスタッド配置をパラメータとした実物大の部分模型供試体を製作し, 床版支間中央側載荷と張出し部側載荷による両方向への曲げモーメントと引抜き力が同時に作用する場合の静的載荷実験を実施し, 得られた結果から垂直補剛材取付け位置近傍のずれ止めの理想的な配置方法について検討した.
  • 三冨 創, 松岡 昌志, 山崎 文雄
    2002 年2002 巻717 号 p. 137-148
    発行日: 2002/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    兵庫県南部地震の10日後にNHKが撮影した空撮画像を用いて最尤法による建物被害の抽出を試み, マルチレベルスライス法を用いた既往の研究との比較を行った. 最尤法の適用にあたり, 分類のための特徴量を4種類とし, 分類クラス数は画像上特徴的な対象物から倒壊建物を含む12個または9個とした. その結果, 色彩情報を用いると倒壊建物が忠実に抽出されることがわかった. エッジ情報を用いた場合は, 建築環境が類似した同一災害の他の地域における画像だけでなく, 設定した閾値や統計量 (平均, 分散共分散) が他の地震災害画像にも一貫して適用できる可能性があることが示唆された. さらに, マルチレベルスライス法を用いた既往の研究とあわせ, リアルタイム地震防災システムへの応用に関する考察を行った.
  • 南 邦明, 広瀬 剛
    2002 年2002 巻717 号 p. 149-160
    発行日: 2002/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    少数主桁橋の現場継手において, フランジを溶接接合とし, ウエブをボルト接合とする併用継手が採用されるようになった. その際, ウエブにスカラップを有する構造となるが, スカラップ近傍では, 曲げ変形に加え, ウエブのせん断変形により局部的な応力集中が発生する. このため, 疲労強度が低い継手となる. 本研究は, スカラップを有する併用継手の疲労強度を調べるため, 併用継手を想定した2体の桁試験体を用いて, 疲労試験を実施した. また, スカラップ内の廻し溶接近傍の局部応力を調べるため, ひずみゲージを取り付け応力計測を行った. さらに, 局部応力に影響する因子を調べるためFEM解析を実施した.
  • 野上 邦栄, 長井 正嗣
    2002 年2002 巻717 号 p. 161-166
    発行日: 2002/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    主ケーブル, ハンガー及び主塔の安全率をパラメトリックに変化させた場合の吊橋全体系の終局強度に関する既往の研究は, これまで初期不整の無い完全系の構造を対象にして解析した成果であったため, 大きな軸圧縮力と曲げモーメントを受ける主塔の初期不整が構造全体系の終局強度に影響することが懸念された. そこで, 本論文では3000m吊橋主塔に初期不整を考慮した弾塑性有限変位解析を各構成要素の安全率を変化させた断面に対して実施し, 各構成要素の初期降伏および吊橋全体系の終局強度に対してバランスのとれた安全率の組合わせを検討した. その結果, 主塔の初期不整が吊橋全体系の終局強度に与える影響は小さいことを明らかにした. したがって, 構成要素の安全率の組合わせは初期不整のない場合と同一のものを提案している.
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