抄録
1999年の台風18号は, 山口県の周防灘沿岸に甚大な被害を及ぼした. 本研究では, Myers の傾度風モデルおよびマスコンモデルにより風域場を再現し, 被害発生に至るまでのこの台風による高潮と波浪のシミュレーションを行い, 山口県周防灘沿岸代表11地点の被災時における各施設への波力等の外力を推定した. これにより, 現行の設計方法を用いて護岸や防波堤の被災メカニズムについての検討考察を行った結果, 防災基準の設定時の想定を越えた異常潮位や波浪の発生により, 護岸においては基準を超えた越波による裏埋土砂の洗掘と, 想定を越えた引き波による負圧発生, 防波堤においては浮力の増大により堤体が不安定化が生じ被災に至ったものとの結論を得た.