抄録
本研究は、従来, 評価されてない治水効果の時間的・地域的効果を考慮して, 現在算定している直接被害と間接被害防除効果に追加加算して評価することで経済効果をより適正に評価させる新しい経済評価手法の提案を行っている. 治水効果の時間的波及効果については17世紀初頭の木曽川改修をケースタディに挙げ, 治水効果の地域的波及効果についてはマニラ首都圏洪水対策をケースタディに挙げた. この結果, 既存の計画では経済効果評価の側面から実施可能性が低い事業とされた事業も実際には実施可能性の高い事業であることが明確になった.