抄録
鋳造工場から排出される煤塵 (以下, 鋳物灰という) と, 電気炉の還元工程から排出されるスラグ (以下, 還元スラグという) を, コンクリート材料として多量に使用し, 消波ブロックを作成するために必要な施工性能, 力学性能を満たす配合設計の確立を研究の目的とした. これらの廃棄物は粉体であるため, 単位水量の増加を招くと共に, 還元スラグには固結や膨張といったコンクリートの硬化阻害を引き起こす問題もある. これに対し著者らは, NaClや石膏の添加, 鋳物灰と還元スラグの混合使用等により問題点を解消し, 更に実寸大の消波ブロックを製作して海中曝露試験を行い, 消波ブロックの実挙動についても検討した. また近年問題視されている六価クロム溶出に関しても, 還元スラグの抑制効果を検討した.