抄録
本研究は基準配合として水セメント比を25%と45%に設定し, その配合に対してフライアッシュの置換率を変化させたモルタルを雰囲気温度10℃および20℃, 相対湿度57±5%の恒温恒湿槽に設置して, 硬化収縮および乾燥収縮の実験を行った. 実験の結果, 置換率を上げると硬化収縮ひずみと乾燥収縮ひずみは減少するものの, 配合によっては普通ポルトランドセメントのみのモルタルよりひずみは必ずしも減少しなかった. また, 硬化収縮・乾燥収縮が起きる要因として, 水和反応や毛細管張力の他に細孔内の水の吸着・脱着が要因として考えられること, フライアッシュの置換率が上がると, 硬化収縮・乾燥収縮共にひずみが減少する理由どして, 細孔内の自由水が増えることにより, 水の消費・逸散に対する化学ポテンシャルの変化が少なくなるためと考えられた.