2003 年 2003 巻 741 号 p. 29-38
本研究では, 環境修復技術における海水の流れの重要性に着目し, 停滞域の流れを制御して海水交換を促進する技術について検討した. 技術としては, 要素的な海底構造物の設置や湾口部の地形改変工法を取り上げ, 湾形を2つのタイプに分けて湾内循環流の変化機構と海水交換の変化を平面水槽実験や瀬戸内海大型水理模型実験により評価した. その結果, 湾口部が開放的であっても湾奥部が停滞しているような湾では, 海底構造物を湾口前面の位置に設置することで, 湾外の流れを導入し停滞域を解消することができる. また, 湾口部が狭く閉鎖的な湾では, 湾口部の深みを埋め込む地形改変工法が有効であり, 海水交換の改善に効果的な手段になることが分かった.