抄録
沿岸自然再生の具体的な計画・設計で必要となる環境評価手法について考察した. 自然再生の目標として“自立した生態系”を挙げ, それを達成するための視点として二つの生態系の連続性に着目した. 一つは局所的な岸沖方向の連続性であり, ヨシ原, 干潟, 藻場の生態学的な連続性である. もう一つは浮遊幼生期を有するベントスの再生産過程で重要な空間的に離れた干潟間の連続性, すなわち“干潟ネットワーク”である. ヨシ原, 干潟, 藻場の個々の場については, 代表生物に対する生息環境評価モデルとしてHSIモデルを提示した. さらに連続性を評価する総合評価手法については, 基本コンセプトを提示した.