抄録
乾燥地土壌において不適切な水管理によって生じる2次的塩害の特性を調べるために, 乾燥土壌中に初期塩集積層を設け, 散水と蒸発の繰り返しによる塩移動実験を行った. その結果, 塩再集積の進行速度および再集積した含塩量は散水量, 散水回数および初期塩集積層の深さに影響を受けることが明らかとなった. また, Kelvin の関係式と状態方程式を必要としない熱・液状水・水蒸気移動理論および物質移動理論を用いて, 散水-蒸発に伴う塩集積層からの塩の溶脱とその後の再集積に至る計算が可能になった. これは, Funicular 状態と Pendular 状態の水分移動理論を明確に体系づけたことによる. 計算された温度分布, 体積含水率分布, 水蒸気密度分布および含塩率分布は実験結果を良好に再現しており, 理論モデルの妥当性が示された.