抄録
通気帯における石油系炭化水素の移動現象を明らかにするため, 豊浦標準砂を充填したアクリルおよびガラスカラムを用いて, 乾燥および水湿潤状態で, 3種類の石油-ガソリン, 灯油, 軽油-および水とエタノールの毛管上昇実験を行った. 本実験により水が残留飽和した状態では乾燥状態に対して石油の移動性が低下すること, 石油の中ではガソリン, 灯油, 軽油の順で移動性が高いことなどが明らかになった. さらに, 非平衡毛管上昇に対する Washbum 方程式から導いた解析解が別途 Green-Ampt の浸潤方程式から導いた解析解と符合すること, およびこれらの解析解が実験結果とよく適合すること示し, パウエルの共役傾斜法を適用して各液体の流動係数, 平衡毛管上昇高, 接触角, 等価毛管半径を計算した.