本研究は, 不飽和・飽和多孔体中での残余NAPL量と揮発量を考慮に入れたNAPL原液の鉛直一次元浸透挙動数値モデルを提案し, その適用性を検討した. 数値モデルの比較検証のための実験値として, トリクロロエチレン (TCE) の移動速度, 水とTCEの鉛直分布, 総揮発量を用いた. その結果, 水とTCEの鉛直分布や揮発量を表現するためには, 間隙中に残存する残余TCE量を考慮する必要があり, その不飽和帯での残余TCE量は, 水飽和度が大きくなると増加する傾向にあった. そして, TCE先端部の移動速度についても, 残余TCE量を考慮することにより, 実験値と計算値が良く一致することを確かめた. さらに, 注入強度が小さい場合, 水がより多く排出されるため, TCE分布が下方に移動する現象も表現できることが分かった.
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