抄録
時間地図とは, 地点間の時間距離を地図上の距離によって表現する地図のことをいう. この作成手法に対する従来のアプローチは2つに分けられる. 1つは, 対象地点間全ての時間距離を再現しようとする方法である. 一般に多次元尺度構成法 (MDS) が適用される. もう1つは, 対象地点を結ぶ連結ネットワークを考え, この辺に相当する地点間の時間距離のみを再現しようとする方法である. この方法に対しては, これまで数学的に明快な解法は提案されていない.
本論文では, 時間地図作成問題を非線形最小二乗問題で表現し, これをベースに上記の2つのアプローチの双方に適用可能な数学的に明快かつ実用性の高い汎用解法を提案する.