2004 年 2004 巻 765 号 p. 91-103
社会資本の早期供用の重要性は, これまで幾度と無く議論されてきたが, 時間管理の視点に基づいた制度・計画の改善についての具体的な検討は端を発したばかりであり, 依然として十分なものではない. 本研究では, これからの社会資本制度を検討する際に必要となると考えられる, 社会資本の事業期間短縮による経済効果についての試算を行った. 具体的には, 古典的な経済成長理論に社会資本の事業期問の概念を組み込んだモデルを構築し, 社会資本整備の事業期間の短縮が, GDP, 税率, 貯蓄率等の経済諸変数に及ぼす影響を分析した. 特に, GDPについては数値計算を行い, 分析の妥当性を検証した.