抄録
災害後の復興過程は様々な空間スケールにおける複雑な事象の影響を受けており, このことが復興政策を決定する上で困難な点となっている. そこで, 本研究では様々な空間スケールにおける影響因子を分析するため, 空間回帰モデルと時系列モデルを融合した時空間統計モデルによるアプローチに着目した. この際, 社会・経済データが同一の時空間スケールで整備されていないことに配慮し, 時空間統計モデル適用のための方法を整理した. ケーススタディとして阪神大震災後の神戸市長田区における人口復興過程を取り上げ, 地域の環境要因などの局所変数とより広域的な経済状況などの広域変数の影響について分析を行った. その結果, 広域・局所的空間スケール双方における復興政策の重要性が定量的に明らかとなった.