本研究の目的は, パーク・アンド・ライド (P&R) を普及させるため, 公共交通選択行動の心理的規定因を調べることである. 本研究の仮説は, 広瀬 (1995) の環境配慮行動の2段階モデルを基に作られた. 仮説の検証のため, P&Rの社会実験が行われた地域の住民に対して社会調査を行い, 893人の回答を得た (回収率61%). その結果, a) 公共交通選択行動の規定因として, 実行可能性評価, コスト評価, 公共交通利用意図が示された. また, b) 態度と主観的規範は, 利用意図を媒介して, 公共交通選択行動を間接的に促進する要因であった. したがって, P&Rの普及のためには, 環境配慮意識にはたらきかけるだけでは不十分であり, 実行可能性評価やコスト評価といった阻害要因を低減させる心理的方略が重要であることが示唆された.
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