土木学会論文集
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2004 巻, 772 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
  • 喜多 秀行, 中村 英樹
    2004 年 2004 巻 772 号 p. 1-2
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
  • 効用アプローチに基づく方法
    喜多 秀行, 前田 信幸
    2004 年 2004 巻 772 号 p. 3-10
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では“ドライバーの認識に基づくサービスの質”を評価する上で, 共通の理論的基盤が必要であることを指摘し, 効用アプローチに基づく検討フレームを提案する. この検討フレームはミクロおよびマクロなレベルの二層構造となっており, ドライバーがある道路区間を走行する際の“全体的なサービスの質”に対する評価を, そこで生起した時々刻々のミクロな走行環境に対する評価の集計値として記述する, というものである. 提案したフレームを用いた事例分析を行い, サービス水準を記述するのに適した交通状態変数を適切に選定し, 評価モデルを構築しうることを提示した.
  • 中村 英樹, 鈴木 弘司, 劉 俊晟
    2004 年 2004 巻 772 号 p. 11-21
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 道路計画や交通マネジメントに際して重要な評価基準である交通流のサービスの質 (QOS) を, 走行快適性といったドライバーの認識の観点から評価することを試みた. 走行快適性は, 走行環境に応じた車線変更挙動をモデル化することで, ドライバーのストレスとして間接的に計測可能であることを示した. そして, 走行調査データに基づき, 高速道路単路部における各種の車両挙動モデルを推定し, これらを組み込んだ微視的交通流シミュレーションを構築した. これを用いて, 非渋滞流領域における様々な交通量レベルの交通状況を再現し, それぞれの運用状態と走行快適性との関係について明らかにした.
  • Taweesilp SURASAK, Izumi OKURA, Fumihiko NAKAMURA
    2004 年 2004 巻 772 号 p. 23-32
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    Platoon characteristics were introduced to measure service quality on multi-lane highway. The data used were collected from 18 locations on Tomei expressway. Due to the lack of study on platoon behavior on multi-lane highway, new platoon criteria and platoon behavior were investigated. Critical Headway was determined by relative speed method and exponential model. Platoon characteristics were explained by platoon rate, platoon size and percent of followers. New levels of service criteria, which based on road users points of view was proposed based on platoon parameters.
  • 藤田 清二
    2004 年 2004 巻 772 号 p. 33-39
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    道路のサービス水準は道路管理者が適切な道路管理 (計画, 設計, 維持管理, 更新) を行う拠り所であり重要な概念である. 例えば道路の横断面は道路利用者の交通の質が望ましい目標状態になるように設計される. 本稿では道路管理においてはサービス水準指標やその閾値が道路管理の利用目的と目標交通運用状態によって決定されるべき事を整理し, 日米独の高速道路設計時の目標サービス水準に関する考え方を紹介して考察した. また, サービス水準の目標値となり得る二つの交通特性指標値を例示し, 理論的にも説明しやすさの点でも適切な閾値の設定が重要であることを述べた.
  • 石橋 善明, 小藪 英彦, 河内 朗
    2004 年 2004 巻 772 号 p. 41-52
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本稿では, 道路利用者からの評価を反映した道路のサービス水準評価に関する実運用に向けた一つの方向性を示すことを目的として, その考え方を整理し, ケーススタディーによる検証を行った. まず, 高速道路利用者を対象として実施したCS調査結果をもとに, 道路利用者の満足評価と交通指標の関係を示すモデル式の構築を行った. サービス水準の評価は道路管理者での活用を想定し, 全国の高速道路から抽出された区間を対象として15分単位の交通指標データからモデルによる道路利用者満足率を算出し, その年間平均値及び年間構成で行った. その結果から, いくつかの課題は残されているものの, 年間平均値と年間構成を組み合わせた評価方法の可能性を提示した.
  • 福本 潤也
    2004 年 2004 巻 772 号 p. 53-65
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    今後の急速な人口減少化により, わが国の地域間人口分布は劇的に変化する可能性を有している. 一方, 政治システムに関しては地方分権化が推し進められていく見通しである. 本研究では,「人口減少化によって一部地域の将来人口が零になる状況でも地方分権システムが効率的な資源配分を導くかどうか?」,「導かない場合に国土計画が果たすべき役割とは?」という2つの疑問に回答することを目的とした理論分析を行い, 人口減少化時代における国土計画の役割について考察することを目的とする. 分析結果から, 一部地域の将来人口が零になる場合には地方分権システムのもとで効率的な資源配分が達成されず, 中央政府による補助金政策が求められることが明らかにされる.
  • 中山 晶一朗, 高山 純一, 長尾 一輝, 笠嶋 崇弘
    2004 年 2004 巻 772 号 p. 67-77
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    人々が移動する場合, 単に所要時間 (旅行時間) が短いだけでなく, 確実に到着出来ることを求めていることが多く, 交通計画や交通管制等の際, 単に旅行時間だけでなく, その不確実性等を評価することが不可欠である. しかし, 確率的利用者均衡は経路選択に確率的効用理論 (ランダム効用理論) を用いているだけであり, ワードロップ均衡と同様に配分される交通量や旅行時間は確定的である. 以上のように従来の均衡モデルでは, 交通ネットワークの不確実性や時間信頼性を十分に評価することは出来ないことが分かる. そこで, 本研究では, 交通ネットワークの不確実性や時間信頼性の評価等に必要となる, 交通量及び旅行時間が確率分布であるネットワーク均衡モデルを定式化する. そして, そのモデルを金沢市の道路ネットワークに適用し, 現況再現性やモデルの妥当性について検討する.
  • 福本 潤也, 土谷 和之
    2004 年 2004 巻 772 号 p. 79-95
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    2001年の省庁再編では, 総務省に行政評価局が, 各省庁に政策評価の担当部局が設置された. これらは各省庁が実施する政策評価の妥当性をチェックする監査機関と位置づけられ, 現在, その役割に対して大きな期待が寄せられている. 本研究では, 社会基盤施設整備のプロジェクト評価における監査制度の役割に着目する. 契約理論に基づいたモデル分析を行い, 分析結果に意味解釈を加えることで監査制度の意義と限界について考察する. また, 昨今のプロジェクト評価のマニュアル化の意義と限界についても監査制度設計の視点から考察する. 分析結果から, プロジェクトの便益や監査費用と最適監査スキームやマニュアル化の社会的必要性の関係が明らかにされる.
  • 福本 潤也, 土谷 和之
    2004 年 2004 巻 772 号 p. 97-114
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    公共事業をめぐる需要予測において, 故意に需要を過大推計するマニピュレーションが行われてきたとの社会的批判が, 最近, 特に強まっている. 本研究では, 需要予測におけるマニピュレーションを抑止する制度のあり方について考察する. 具体的には, 1) 需要予測における一連の手続きをプリンシパル・エージェント・モデルとして定式化し, 2) 最適契約を理論的に導出し, 3) 分析結果に意味解釈を加えることで具体的な制度設計についての知見を得ることを試みる. 分析結果から, 需要予測に携わる主体への報酬を事業の事後的な社会的純便益もしくは事業実施後に観察される交通量の事前予測確率のいずれかに連動させる制度がマニピュレーションの抑止に有効であることが明らかにされる.
  • 白濱 好文, 屋井 鉄雄, 福田 大輔, 神田 学
    2004 年 2004 巻 772 号 p. 115-130
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ITSの導入等といった, 新規交通政策の実施に伴う大気環境の改善効果を評価するためには, 高い時間分解能・空間分解能で個々の車両の走行状況を記述し, その上で, 大気汚染物質の面的な移留・拡散の状況を把握することが望まれる. 本研究では, 交通マイクロシミュレーションと気象シミュレーションを統合して, 交通・大気環境を広域的に分析・予測するためのシステムを構築し, ITS関連の交通施策導入に伴う交通流動パターンや大気環境の変化を分析した. 具体的には, 現況の道路構造を概ね反映した道路ネットワークデータを構築し, 時間帯別OD交通量の精度を向上させ, 加速度を考慮したSPM排出原単位を構築した上で, これらを交通・大気環境シミュレーションとして統合し, 交通流, 排出量双方の現況再現性の向上を図っている.
  • 羽田空港を例として
    大橋 忠宏, 宅間 文夫, 土谷 和之, 山口 勝弘, 堀 健一
    2004 年 2004 巻 772 号 p. 131-142
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    航空輸送サービスはネットワーク財であり, ある特定の空港施設整備が行われたとしても効果はネットワーク全体へ波及する. 空港施設整備計画が国土計画を上位とする下位の計画であると考えるならば, 空港施設整備の費用, 便益の総額を議論するだけでなく, 便益波及の空間的側面を考慮する必要がある.
    本稿では, 日本を対象に空港施設整備が各地域へ及ぼす影響を計測することを目的とする. 分析では羽田空港のスロット拡大の効果が対象とされる. 分析の結果, 羽田空港のスロット拡大は, その後背地域である関東地方のみならず, 九州や北海道地方など, 羽田発着の路線・便数の多い地域でも大きいことが明らかにされた.
  • 梶谷 義雄, 多々納 裕一, 岡田 憲夫, 松田 曜子
    2004 年 2004 巻 772 号 p. 143-151
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    災害後の復興過程は様々な空間スケールにおける複雑な事象の影響を受けており, このことが復興政策を決定する上で困難な点となっている. そこで, 本研究では様々な空間スケールにおける影響因子を分析するため, 空間回帰モデルと時系列モデルを融合した時空間統計モデルによるアプローチに着目した. この際, 社会・経済データが同一の時空間スケールで整備されていないことに配慮し, 時空間統計モデル適用のための方法を整理した. ケーススタディとして阪神大震災後の神戸市長田区における人口復興過程を取り上げ, 地域の環境要因などの局所変数とより広域的な経済状況などの広域変数の影響について分析を行った. その結果, 広域・局所的空間スケール双方における復興政策の重要性が定量的に明らかとなった.
  • 古市 朋輝, 門間 健, 岩崎 征人
    2004 年 2004 巻 772 号 p. 153-167
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は首都高速道路曲線区間における運転者の注視挙動と車両の制御挙動とについて述べている. 都市高速道路の曲線区間には事故率の高い区間がある. 交通事故は運転者のヒューマンエラーが主要な要因の一つである. 本研究はこのような運転者のヒューマンエラー発生要因を分析するために, 首都高速道路の曲線区間を含むいくつかの路線で走行実験を実施した. 実験結果から得られた運転者の眼球運動, 曲線部での車両の遠心加速度および曲線線形を含むに道路環境とを関連付けて, 運転者のヒューマンエラー発生原因について考察を加えている. 分析の結果, 曲線区間の危険度を運転者の注視挙動と関連付けて評価するモデルを提案することができた.
  • 織田澤 利守, 石原 克治, 小林 潔司, 近藤 佳史
    2004 年 2004 巻 772 号 p. 169-184
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では経済的寿命に不確実性がある社会基盤施設の最適修繕政策を検討するための方法論を提案する. 社会基盤施設の経済的・物理的劣化過程をマルコフ決定過程としてモデル化する. その上で, 施設管理者が施設の経済便益とライフサイクル費用の双方を考慮しながら, 施設の転用タイミングを決定する最適運営政策と施設の劣化状態を回復する最適修繕政策を同時に決定するための最適アセットマネジメントモデルを定式化する. さらに, 提案した最適アセットマネジメントモデルを港湾施設のアセットマネジメント問題に具体的に適用し, モデルの有効性を実証的に検討する.
  • オプション・グラフ・モデルとその解法
    長江 剛志, 赤松 隆
    2004 年 2004 巻 772 号 p. 185-202
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 複雑な連鎖的意思決定構造をもつ社会基盤整備プロジェクトの財務的評価・意思決定問題を, システマティックに記述・分析できる定量的手法のための枠組を提案する. 本研究では, まず, 当該プロジェクトを複数のオプションから構成される複合 (compound) オプションと見なし, そのオプション構造を有向グラフとして表現する枠組を提案する. 次に, 現実的かつ一般的な仮定の下で複合オプション問題を定式化し, 問題の分解可能性に着目した数理解析を行う. 具体的には, この問題が, 二つの異なる座標軸―時間とグラフ構造―について分解できることを示す. こうして分解されたサブ問題が数理計画分野で良く知られる標準形の相補性問題に帰着することを明らかにする. これらの分析結果に基づき, 見通しの良い効率的数値解法を開発する.
  • パーク・アンド・ライドの促進に向けた社会心理学的アプローチ
    大友 章司, 広瀬 幸雄, 大沼 進, 杉浦 淳吉, 依藤 佳世, 加藤 博和
    2004 年 2004 巻 772 号 p. 203-213
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, パーク・アンド・ライド (P&R) を普及させるため, 公共交通選択行動の心理的規定因を調べることである. 本研究の仮説は, 広瀬 (1995) の環境配慮行動の2段階モデルを基に作られた. 仮説の検証のため, P&Rの社会実験が行われた地域の住民に対して社会調査を行い, 893人の回答を得た (回収率61%). その結果, a) 公共交通選択行動の規定因として, 実行可能性評価, コスト評価, 公共交通利用意図が示された. また, b) 態度と主観的規範は, 利用意図を媒介して, 公共交通選択行動を間接的に促進する要因であった. したがって, P&Rの普及のためには, 環境配慮意識にはたらきかけるだけでは不十分であり, 実行可能性評価やコスト評価といった阻害要因を低減させる心理的方略が重要であることが示唆された.
  • 溝上 章志, 竹隈 史明
    2004 年 2004 巻 772 号 p. 215-226
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 各種統合型ネットワーク均衡モデルに含まれる手段選択モデルなどの構成モデルや, ネットワーク特性を特定化するリンクパフォーマンス関数の未知パラメータを断面交通量の観測値を用いて逆推計する手法を提案し, それを[MSUE/ATIS] モデルやBPR関数の未知パラメータ推定に適用した. この逆推計問題は各種ネットワーク均衡下での推計リンク交通量と観測リンク交通量との残差平方和最小化という2段階最適化問題として定式化され, その解法として適切に改良された非線形感度分析を適用した. モデルネットワークでの数値シミュレーションによって, 本手法の定式化とその解法の適用可能性が検証され, 実用に供するための課題が検討された.
  • 福田 大輔, オパチャヴァリット ナルモル, 屋井 鉄雄
    2004 年 2004 巻 772 号 p. 227-238
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    我が国では, 2001年3月にETCシステムの一般向け運用が開始された. ETC導入による渋滞緩和や環境改善等が期待されているが, 車載器の普及が進んでおらず, これらの効果が充分顕在化していない. そこで本研究では, インターネット調査を通じて収集した選好表明データを用いて, 個々のドライバーの車載器購入行動をモデル化し, 普及促進のための政策について検討した. インターネット調査を通じて, 仮想的に作成した車載器プロファイルに対する購入意向を尋ね, 嗜好の異なる複数のセグメントを考慮可能な順序型潜在クラス選択モデルを構築した. 最後に, 同定したモデルに基づいて, 車載器価格や道路料金割引率に対する購入確率の感度分析を行った.
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