Biot の飽和多孔質弾性体モデルに基づき, 無限媒質に散乱体が存在する場合の散乱問題に関して境積界分方程式を定式化した. 定式化の過程では, 固体変位の固定あるいは全応力に対するトラクシヨンが0の境界条件, 及び流体が浸透性あるいは非浸透性の境界条件を与之ることができるように表面力作用素を定義した. 境界要素法による数値計算により, 球形の散乱体に平面波を入射させた時の, 表面及び散乱体近傍の変位・圧力分布を求め, 媒質の多孔質弾性パラメータ, 及び表面の浸透性・非侵透性の条件が散乱特性に与える影響を調べた. その結果, 散乱体近傍の変位及び圧力の分布は弾性体と異なる挙動を示し, 散乱の波形と各波の波長を比較すると, 速い縦波の入射に対して遅い縦波が現れて, 間隙圧力に大きな影響な与えることが示された.