抄録
本研究では, 有害金属類による土壌汚染地域での汚染物質の移動や汚染範囲の予測を行う際に, 各汚染レベルでの物質収支に基づいた解析を行えるようにするため, 各種土壌について3~4桁の広範囲の汚染濃度レベルにおける多成分系での有害金属カチオンの交換量の解析を行った. 高濃度域では有害金属カチオンの交換量が土壌ごとに一定値で最大となり, また, 土壌環境基準値付近の低濃度域では等温線が両対数でほぼ直線となることが明らかになった. このときの直線の傾きを表すカチオン交換等温式の定数nは, 異なる土壌間においても有害金属カチオンごとにほぼ同じ値になるものとみなせた. また, 有害金属カチオンの交換量に大きく影響する土壌中のpHとアルミニウムイオン濃度の影響を定量的に解析できた.