2007 年 63 巻 3 号 p. 454-463
山地や谷地形などの地形の起伏や,埋没谷などの基盤の不整形性を有する地盤では複雑な地震応答を示すことが指摘されている.このため様々な地震応答解析が行われてきたが,複雑な応答が生じるメカニズムについては依然として不明な点が多い.そこで本研究では,前報で展開した「散乱波の寄与」に基づいて,正弦波状の起伏を有する地盤で生じる1~3次散乱波の寄与の時刻歴波形(寄与波形)を求め,地表面の各点の応答波形と比較した.この結果,起伏の山,谷などで生じる複雑な応答波形は散乱波の寄与波形が現れたものとして解釈することができ,最大振幅や継続時間の変化などの起伏地形の応答波形に特徴的に見られる性質が散乱波の主要な成分である一次散乱波の解析的な表現に基づいて系統的に理解できることを示した.