2007 年 63 巻 4 号 p. 780-794
現在の設計基準における構造物は,レベル1,レベル2の2段階の地震動のもとに設計されている.しかし,種々の地震動強度による構造物の損傷や損失による地震リスクを考慮すると,2段階の地震動強度による耐震性能の照査では,必ずしもトータルコストが最小とはならないと考えられる.ここで,トータルコストには初期建設コストと,補修コストやユーザーコストによる地震リスクを用いた.トータルコストが最小となる地震動強度は,設計対象の構造物の機能や構造種別ごとに異なると考えられる.本研究ではこのような観点から,トータルコスト最小を基準として対象構造物固有の目標設計地震動強度を決定するための手法を提案する.そして,いくつかのRC構造物に適用し目標設計地震動強度の比較検討を試みる.