2008 年 64 巻 4 号 p. 1017-1036
本論文は,地震時避難行動予測のために開発された,多様な群集が雑然と避難する状況を想定したエージェントシミュレーションを説明する.エージェントは見る,考える,動くことができ,固有の移動速度で避難経路モデル内を自律的に移動する.移動速度は混雑時や緊急時の人々を写したビデオ画像を解析することで求めており,避難経路モデルはGISやCAD図面から自動構築される.狭隘な街路,地下鉄駅,大型地下空間を対象に,開発したシミュレーションを実行した.さまざまな想定での群集避難の危険性を分析するとともに,密集空間の危険性の相対比較を試みた.