2008 年 64 巻 4 号 p. 739-749
コンクリート床版を対象とした目視点検では,コンクリートの表面に顕在化したひび割れなどの損傷要因に関する視覚的な情報から,床版内部の健全性を評価する.本研究では,構造物の健全性評価の自動化を目的として,ひび割れを有するコンクリート床版のデジタル画像から種々の特徴量を抽出し,パターン認識手法を用いて構造物の健全性評価を試みる.パターン認識手法として,近年注目されている教師なし学習法に代表されるパーセプトロン型のサポートベクトルマシンを適用し,またその識別精度の評価のために,教師あり学習法である学習ベクトル量子化も適用した.コンクリート床版のデジタル画像47枚を対象として,ひび割れによる構造物の損傷度を推定し,両手法の診断結果について比較・検討し,特徴量の選定・抽出および提案手法の有効性を示す.