2008 年 64 巻 4 号 p. 959-969
近年,ダム堤体だけでなく関連構造物に対しても,レベル2地震動に対する耐震性能照査が求められている.重要な関連構造物の一つとしてダムゲートが挙げられるが,照査の際には,振動特性に関わる構造条件や作用する外力条件の把握が重要となる.本論文では,ダムゲートの実態と外力条件の一つである地震時動水圧に着目し,ダムゲートの位置及び形状が動水圧に及ぼす影響を把握するための水中振動実験及び数値解析を行った.その結果,形状の影響は小さいが位置の影響は大きく,実用的な耐震性能照査を行うには無視できないことを明らかにした.また,この結果に基づき,ダムゲートに作用する地震時動水圧に関する実用的評価式を提案し,耐震性能照査における有用性について示した.