2020 年 62 巻 7 号 p. 764-770
59歳女性.2年前より嚥下困難を認め,当院を受診.精査により頸部食道に40mm大の粘膜下腫瘍を認め,腫瘍の圧排による食道狭窄を認めた.粘膜面にびらんや潰瘍を認めず,粘膜切開生検による組織検査にて顆粒細胞腫と診断した.病理学的に悪性所見は認めなかったものの,通過障害に伴う嚥下困難感が強いために胸腔鏡下腹腔鏡下食道亜全摘を施行した.腫瘍は気管膜様部に浸潤し,本症例は病理学的に良性であるが,悪性顆粒細胞腫の診断基準を満たした.食道顆粒細胞腫は本例のように病理組織学的に良性でも深部浸潤をきたす症例があり,腫瘍径が大きい症例や周囲臓器への浸潤を認める症例,自覚症状を伴う症例は外科加療を考慮すべきである.