本研究は,表面被覆した鋼材の海洋環境における劣化,すなわち母材の腐食と表面被覆の劣化の進行について明らかにすることを目的として実施された.特に,実構造物では被覆の損傷に起因する劣化が問題となることから,損傷の影響について,海洋環境における曝露試験および試験室内での浸漬試験を併用して検討を行なった.その結果,飛沫帯と干満帯・海中部とでは劣化の進行メカニズムが異なること,被覆の損傷が劣化の進展に大きな影響を与えること,被覆の厚さや有機ジンクプライマーの有無が腐食速度に影響を与えること,などを明らかにし,海洋環境における劣化の進展メカニズムについて考察した.