2009 年 65 巻 1 号 p. 165-177
本論文は,コンクリートの破壊挙動を精度良くかつ効率的に再現するために,準脆性材料の破壊力学モデルである結合力クラックモデルを組み込んだ,FEMをベースとする離散ひび割れ進展解析手法を開発し,さらにこれを引張せん断型の混合モード破壊に応用することにより,準脆性材料の破壊力学挙動を検討するものである.まず,結合力クラックモデルの導入方法と,FEMをベースとする任意の離散ひび割れの表現技法について述べた後,そのひび割れ進展解析アルゴリズムについて説明する.そして,検証例題や数値解析例を示した後,準脆性材料のひび割れ進展解析のベンチマーク問題として多く利用されている混合モード破壊の再現解析に本解析手法を応用し,数値解析における再現性や破壊力学挙動のモデル化について検討・考察する.