2009 年 65 巻 1 号 p. 188-195
国際溶接学会の疲労設計指針では,公称応力やホットスポット応力に加えて有効切欠き応力を用いた疲労強度評価法も示されている.そして、有効切欠き応力を求めることができれば,継手形式や疲労破壊起点(溶接止端と溶接ルート)によらず,一つの疲労強度曲線で容易に疲労強度評価を行うことができるとしている.荷重伝達型十字溶接継手ではルート破壊の恐れが高く,その疲労強度評価には疲労き裂進展解析が有効とされている.本研究では,板厚や溶込み深さなどをパラメータとした継手モデルを対象として,疲労き裂進展解析と有効切欠き応力を用いた疲労強度解析を行い,それらの結果を比較することにより,有効切欠き応力概念の十字継手・ルート破壊の疲労強度評価への適用性について検討する.