2009 年 65 巻 1 号 p. 243-254
本研究では,橋梁の耐震設計で従来無視されてきたフィンガー型Expansion Joint(EJ)の非線形履歴モデルを提案し,これが橋梁の地震応答に及ぼす影響を検討したものである.このモデルでは,EJ間の相対変位に応じて,橋軸方向と橋軸直角方向の連成を考慮すると同時に,EJが破断後摩擦力しか伝達しないとした場合と,EJが噛みこみロックするとした場合の2種類のモデルを提案している.EJに対する提案モデルを用いた動的解析の結果,EJを取り入れることによって,橋脚の塑性化や桁及び橋脚の応答変位,残留変位に大きく影響することを明らかにした.