2009 年 65 巻 2 号 p. 410-425
鋼トラス橋梁を対象としてリダンダンシー(構造冗長性)評価の検討を行った.ここでリダンダンシーとは,橋梁の1部材もしくは一部が破断した場合における,橋梁全体系の余耐力を意味する.ケーススタディとして実際に斜材の破断が生じた木曽川大橋(単純下路トラス1960年設計)と,3径間連続上路トラス(1980年設計)を取り上げた.線形解析に基づくリダンダンシー評価を検討の基本としたが,別に行った橋梁全体の非線形解析結果と比較することで,線形リダンダンシー解析の妥当性を検証した.さらに格点部のみを詳細にモデル化した弾塑性解析を実施し,リダンダンシー解析における格点部の影響を検討した.最後に今回行ったリダンダンシー解析の結果を受けて,合理的な維持管理への提言をまとめた.