2009 年 65 巻 2 号 p. 523-535
無線通信と演算処理能力を有するスマートセンサは,密な計測とデータ処理,それに基づく判断を可能とし,構造振動モニタリングへの適用が期待されているが,そのためには,高サンプリング周波数での多点同期計測,多量データの無欠損転送,効率的なデータ集約などの機能が必要となる.しかしながら,スマートセンサ上で利用できる電力や計測・演算ハードウェアは限られている.本研究では,これらの制約条件を勘案して,1)リサンプリング手法を利用し厳密なハードウェア時間制御が不要な多点同期計測,2) 確認応答の少ない無欠損転送,3) 分散協調型データ集約の3つのミドルウェアを提案した.スマートセンサのImote2にこれらミドルウェアを実装し,通信実験と構造模型振動計測実験によりその有効性を示した.