抄録
積層ゴム支承は引張り変形に対し比較的低荷重で破壊に至ることから,設計では回転により生じる局所的な引張変形を許容していない.このことが支承のサイズが増大する原因となっている.本研究では,天然ゴムを用いた積層ゴム支承を対象とし,ゴムの材料試験結果に基づいた支承の有限要素モデルを用いて,支承の回転限界を表す合理的な設計式を構築する.まず,材料試験を行い,ゴムの材料定数を同定し,膨張変形において弾性限界を表す力学特性を特定する.次に支承の有限要素モデルを用いて,様々な形状,載荷条件の下,回転変形における限界値を算出する.次いで解析結果から支承の限界回転角の設計式を提案し,現行の設計法との比較を行う.最後に積層ゴム支承の回転疲労試験を行い,提案した設計式の安全性を確認する.