土木学会論文集A
Online ISSN : 1880-6023
ISSN-L : 1880-6023
和文論文
大型疲労試験体を用いた既設鋼製橋脚隅角部の疲労強度評価と疲労強度向上法の提案
下里 哲弘三木 千壽時田 英夫町田 文孝柳沼 安俊小野 秀一
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 66 巻 3 号 p. 406-419

詳細
抄録

 既設鋼製橋脚隅角部に多数の亀裂が発生し,その原因と対策が求められている.本研究では,隅角部の疲労上の弱点とされている3溶接線交差部の溶接状態および応力状態を実橋隅角部と同様に再現した実物大の疲労試験体を用いて,静的および疲労試験を行い,隅角部の疲労強度低下の主要因を調べた.その結果,疲労強度低下の主要因は,3溶接線交差部の溶接表面近傍の溶接欠陥と溶接内部に形成される板組固有の内在キズ(Δゾーン)の両者であった.また,亀裂発生隅角部の多くは1960~1970年代に製作されており,その年代の鋼材への補修溶接の適用は困難である.よって,隅角部の疲労強度低下要因である3溶接線交差部の溶接不具合を機械的に除去し,補修する大コア法を提案し,その大コア法は既設鋼製橋脚隅角部の疲労強度を大幅に向上することを示した.

著者関連情報
© 2010 社団法人 土木学会
次の記事
feedback
Top