2013 年 69 巻 1 号 p. 90-99
街並の雰囲気という表現に代表されるように,我々は明示的な指摘は難しいものの,何処か感じる街並の魅力をおよそ無意識ともいえるよう感覚的に捉えている.認知科学に基づけば,この街並の雰囲気の捕捉は,自動的処理により形成された街並イメージの認知と解釈できる.そこで,本研究では商業地街路を対象に,自動的処理による商業地街路の認知の存在を感情プライミングパラダイムに基づき検証した.その結果,特に商業地街路の心理的距離は自動的処理により認知されることを明らかにするとともに,その認知は店頭に陳列される実物商品の量に依拠しており,商品の量が多いほどポジティブな感情価として処理される傾向があることを示した.