つい気になる店舗へ目を向けてしまうように,魅力的な店舗はまちゆく人の注意を惹きつける.特徴的な対象に対して選択的に注意を向けてしまう現象は,認知科学では注意の偏りの問題として検討されている.本研究では店舗画像を刺激として,店舗種類ごとの情報の量及び感情価の違いに応じて注意の偏りに差異が生じるか否か,ドットプローブ課題を用いて検証した.さらに刺激の提示時間を操作することで,注意の偏りの時間的遷移についても検討した.その結果,外発性注意では文字や商品といった店舗の持つ顕著性,内発性注意では親近感や美・品格といった店舗が有するポジティブな感情価を持つ対象に対する注意の偏りが観察され,知覚処理の進行に伴い注意の偏りが遷移することが示された.