先行する刺激によって,後続の反応や行動が変化することを係留効果という. この効果を街並の体験において考えると,ある街並の印象はそれまでに通った街並の印象に影響されると言える. そこで本研究では,街並を構成する店舗を対象とし,店舗刺激による係留効果を検証した.その結果,先行する店舗刺激により,後続の店舗刺激の印象評定が変化する係留効果が認められ,特にその変化の向きは,後続の店舗刺激の評定値がより強調される方向へと変化する対比となることが確認された.また,観察される対比は,先行する店舗刺激を反復提示とすることで増大することが認められた.