2011 年 67 巻 1 号 p. 39-53
本研究は,繊維強化複合材料,特に繊維補強コンクリート(FRC)を用いた材料最適化手法を提案する.FRCは,通常の鉄筋コンクリートに比べ板厚を極めて薄くできるという優れた長所があるものの,力学的挙動が複雑で一旦損傷が起きると急激に耐荷力が低下するという問題がある.そのため,本研究はFRCの損傷後においても耐荷力を安定的に保持できるような構造に改善することを意図し,それを可能にする構造最適化手法の提案を行う.ここで提案する手法は,単一材料を対象にした一般的なトポロジー最適化の概念を複合材料に応用し,さらに構成材料の材料非線形性を考慮するものである.ここではいくつかの数値解析例を用いて,本手法が繊維複合材料の耐荷力を安定的に保持できる構造に改善することを確認した.